社会保険料月額変更の特例
新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」)の影響で報酬等が著しく下がった従業員について
事業主からの届出によって社会保険料の標準報酬月額を翌月から改定できる特例が設けられました。(以下、「特例改定」)
月額変更の原則は昇給や降給に伴い固定的賃金が変動した月から3カ月間に支払われた報酬の平均額が大きく変動している場合(2等級以上の変動)に4か月目より標準報酬月額を改定します。
今回の特例は報酬の額が大幅に変わった月1か月で判定し、翌月より標準報酬月額を改定することができます。
特例の改定は次の3つの条件すべてに該当する方が対象になります。
また、対象の保険料も限定されています。
▼対象となる方
①新型コロナの影響による休業により2020年4月から7月までの間に報酬が著しく下がった月が生じた方
②報酬が著しく下がった月に支払われた賃金の総額(1か月分)が既に設定されている標準報酬月額に比べて2等級以上、下がった方(固定的賃金の変動がない場合も対象)
③特例により標準報酬月額を改定することについて書面により同意している方
▼対象となる保険料
2020年4月から7月までの間に休業により報酬等が急減した場合に、その翌月の2020年5月から8月分の保険料が対象で、届出は2021年1月末までにあったものが対象になりそれまでの間は遡及して申請することができる。
2020年8月から12月の間に報酬が著しく下がった方も対象になりました。
▼対象となる方
①新型コロナの影響による休業により2020年8月から12月までの間に報酬が著しく下がった月が生じた方
②報酬が著しく下がった月に支払われた賃金の総額(1か月分)が既に設定されている標準報酬月額に比べて2等級以上、下がった方(固定的賃金の変動がない場合も対象)
③特例により標準報酬月額を改定することについて書面により同意している方
さらに、2020年4月または5月で特例改定を受けている方は定時決定の特例があります。
▼対象となる方
①新型コロナの影響による休業があったことにより2020年4月または5月に報酬が著しく低下し、5月または6月に特例改定を受けた方
②8月に支払われた賃金の総額(1か月分)が9月の定時決定で決定されて標準報酬月額に比べて2等級以上、下がった方
③特例により標準報酬月額を改定することについて書面により同意している方
▼対象となる保険料
休業により報酬等が急減した場合に、その翌月分からの保険料が対象で、届出は2021年2月末までにあったものが対象になりそれまでの間は遡及して申請することができる。
この特例を行うことで社会保険料の負担は減りますが、それと同時に将来の年金等が減少する可能性がありますので、すべての③にて従業員の十分な理解に基づく事前の同意が前提になります。
また、遡及して減額した場合は従業員に適切に返還する必要があります。
手続きには日本年金機構等のホームページで公開されている専用の様式と申立書が必要になります。
届け出は事務センターへの郵送ではなく、管轄の年金事務所に郵送もしくは持参になりますので注意してください。