中小企業でも増えている「オンライン税務調査」とは?

近年、税務調査は対面だけでなく、オンライン形式で行われるケースが増えています。特に中小企業では「突然オンラインと言われても不安」「何を準備すればいいのかわからない」と感じる方も多いのではないでしょうか。本記事では、中小企業向けにオンライン税務調査の概要や流れ、対応のポイントをわかりやすく解説します。
目次[非表示]
- 1.オンライン税務調査とは?
- 2.中小企業が対象になる理由
- 2.1.① 会計や書類管理がデジタル化されている企業
- 2.2.② 事務所スペースが限られている企業
- 2.3.③ 調査内容が比較的シンプルな企業
- 2.4.④ 過去に大きな指摘や不正がない企業
- 2.5.⑤ 税務署側の業務時効率を考慮したケース
- 3.オンライン税務調査の主な流れ
- 3.1.1.事前通知
- 3.2.2.事前登録
- 3.3.3.テストメールの送受信、インターネットメールの利用
- 3.4.4.データの受け渡し
- 3.5.5.税務調査
- 4.オンライン税務調査のメリットとデメリット
- 5.中小企業が押さえるべき対応ポイント
- 5.1.① 経理資料・証憑類のデジタル化
- 5.2.② 提出資料は事前に内容を確認する
- 5.3.③ 会計ソフト・データ構成を把握しておく
- 5.4.④ オンラインツール(Teams等)の操作を事前に確認する
- 5.5.⑤ その場で答えられない質問は無理に回答しない
- 5.6.⑥ 必要に応じて税理士など専門家に同席を依頼する
- 6.まとめ
オンライン税務調査とは?
オンライン税務調査とは、税務署の調査官と直接対面することなく、インターネットを通じて行われる税務調査のことです。
具体的には、Microsoft TeamsなどのWeb会議システムに加え、インターネットメールやオンラインストレージ(PrimeDrive)を活用して調査が進められます。
この調査方法は、コロナ禍をきっかけに2022年10月に開始され、現在では税務調査の一つの手法として定着しつつあります。
2026年9月には、次期国税総合管理システムの稼働が予定されており、税務調査を含む税務行政のDX化が本格化します。これにより、税務調査や各種手続きは、対面中心からオンライン活用へと大きく移行していく見込みです。
国税庁は「調査等におけるオンラインツールの利用等について」を公表し、2025年9月から2026年6月にかけて、税務調査や行政手続きを段階的にオンライン化するとしています。
> 参考:国税庁「税務行政におけるオンラインツールの利用について」
中小企業が対象になる理由

「オンライン税務調査は大企業向けなのでは?」と思われがちですが、実際には中小企業こそ対象になりやすい傾向があります。
以下では、オンライン税務調査に選ばれやすい企業の特徴を解説します。
① 会計や書類管理がデジタル化されている企業
オンライン税務調査に選ばれやすいのが、
日頃から会計データや証憑書類を電子管理している企業です。
たとえば、
会計ソフトを利用している
請求書や領収書をPDFで保存している
電子帳簿保存法に対応している
といった企業では、データ提出や画面共有での確認がしやすいため、
税務署側としてもオンライン調査を実施しやすくなります。
② 事務所スペースが限られている企業
小規模事業者や自宅兼事務所など、調査官を受け入れるスペースが十分に確保できない企業も、オンライン調査が選ばれる理由の一つです。
調査官が長時間滞在する必要がないため、企業側・税務署側の双方にとって負担が軽減されます。
③ 調査内容が比較的シンプルな企業
オンライン税務調査は、書類確認が中心となる調査に向いています。
そのため、
取引内容が比較的単純
国際取引や複雑な組織再編がない
通常の法人税・消費税の確認が中心
といった企業は、オンラインで完結しやすく対象になりやすい傾向があります。
④ 過去に大きな指摘や不正がない企業
過去の税務調査で、
重加算税が課されたことがない
悪質な申告漏れが指摘されていない
といった企業は、反面調査や現物確認が必要になる可能性が低いため、オンライン調査が選択されやすくなります。
⑤ 税務署側の業務時効率を考慮したケース
国税庁では近年、税務行政のDX(デジタル化)を進めています。
その一環として、調査官の移動時間を削減できるオンライン調査は、業務効率の面でも活用が進んでいます。
特に、
調査件数が多い税務署
人員が限られている税務署
では、オンライン税務調査が選択されるケースが増えています。
オンライン税務調査の主な流れ

1.事前通知
税務署から原則口頭で連絡が来ます。「オンラインでの実施予定であること」や「対象となる税目・期間」などが簡単に伝えられます。突然の連絡に驚くかもしれませんが、この段階では日程調整や調査方法の説明が中心です。内容について細かく追及されることはほとんどありません。
2.事前登録
オンライン調査でメールやWeb会議(Microsoft Teams)、オンラインストレージ(PrimeDrive)を利用する場合は、事前に納税者の同意が必要です。
税務署の担当者から利用の意思確認があり、同意したうえで使用するメールアドレスなどを登録します。
登録はMicrosoft Forms(アンケートフォーム)から行い、所轄の税務署専用フォームを選んで入力する必要があります。
※ 関係民間団体の方や調達の契約事業者等、税務署等の担当者と別途オンラインツールの利用に関して合意している場合は、メールアドレス等の登録はMicrosoft Forms以外の方法によることも可能です。
3.テストメールの送受信、インターネットメールの利用
オンラインツールの利用に同意し、メールアドレス等を登録すると、税務署の担当者から登録したメールアドレス宛にテストメールが送信されます。
その後、電話や対面で受信確認を行い、テストメールに返信することで、インターネットメールの利用が開始されます。
4.データの受け渡し
インターネットメールやe-Tax のほか、オンラインストレージサービス(PrimeDrive)を利用して、調査官から求められた帳簿書類等の資料を提出します。
5.税務調査
Web会議を使って、調査官から質問を受けます。
画面共有をしながら、帳簿や資料の確認を行います。
オンライン税務調査のメリットとデメリット
メリット
① 移動や立ち会いの負担が少ない
調査官の来社対応が不要なため、 通常業務への影響を最小限に抑えられます。
② 日程調整がしやすい
短時間のオンライン面談を複数回に分けて行うことも可能です。
③ 資料の整理がしやすい
データ提出が中心のため、 書類のコピーやファイリングの手間が減ります。
デメリット
① IT環境が必須
安定したインターネット環境
Web会議ツールの操作
に不慣れだと、調査がスムーズに進まないことがあります。
② 説明不足になりやすい
画面越しでは、 書類の背景や経緯が伝わりにくいこともあるため、 補足説明の準備が重要です。
③ データ管理への注意
誤って不要なデータまで提出しないよう、 提出範囲は必ず確認しましょう。
中小企業が押さえるべき対応ポイント
オンライン税務調査では、「画面越しだから簡単」と考えるのは危険です。
調査の本質は対面調査と変わらず、事前準備と対応姿勢が結果を左右します。
また、すでにDXが進んでいる企業だけでなく、
手書きや表計算ソフト中心で帳簿を作成している企業も、段階的な対応が必要になります。
① 経理資料・証憑類のデジタル化
オンライン調査では、会計データや証憑類をデータで提出・共有する場面が増えます。
手書きや表計算ソフトで帳簿を作成している企業は、デジタル化を検討することが必要です。
デジタル化により、資料提出がスムーズになるだけでなく、
計算・集計作業の効率化や保管コストの削減といったメリットも得られます。
② 提出資料は事前に内容を確認する
求められた資料は、送信前に必ず内容を確認しましょう。
数字の整合性や説明できない点がないかを事前にチェックしておくことで、
調査当日の不要な指摘を防ぐことができます。
③ 会計ソフト・データ構成を把握しておく
会計ソフトを利用している場合は、
どこにどのデータがあり、どの画面を見せればよいかを把握しておくことが大切です。
画面操作に戸惑うと、調査が長引く原因にもなります。
④ オンラインツール(Teams等)の操作を事前に確認する
オンライン税務調査では、Microsoft TeamsなどのWeb会議システムが使われます。
接続方法、画面共有、音声・カメラの設定などは、事前に一度試しておくことをおすすめします。
⑤ その場で答えられない質問は無理に回答しない
即答できない質問については、無理に答えず「確認して後日回答します」と伝えることが重要です。
曖昧な回答は、かえって不利になる可能性があります。
⑥ 必要に応じて税理士など専門家に同席を依頼する
オンライン調査でも、税理士の同席は可能です。
不安がある場合は、専門家のサポートを受けながら対応することが安心です。
オンラインであっても、税務調査であることに変わりはありません。
DX化が進む今だからこそ、IT面の準備と誠実な対応が、中小企業にとって重要なポイントとなります。
まとめ
オンライン税務調査は、中小企業にとって負担を軽減できる便利な調査方法である一方、 「見えない」「来ない」からこそ対応の質が問われます。
特に、データ提出や説明の仕方次第で、 本来不要だった指摘につながってしまうこともあります。
事前に流れや注意点を理解し、 落ち着いて対応できる準備をしておくことが、 オンライン税務調査を無理なく乗り切る最大のポイントです。
オンライン税務調査は、中小企業にとって負担を軽減できる一方、準備不足が不利に働く可能性もあります。
事前に流れとポイントを理解し、 落ち着いて対応できる体制を整えておきましょう。
不安がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。







