法定休暇・法定外休暇の種類と有給・無給・欠勤の違いを解説
働き方改革が進む今、休暇制度も進化しています。企業は多様な働き方に対応するため、特別休暇の種類を拡充しています。
本記事では、労務担当者が知っておくべき法定休暇(年次有給休暇など)と法定外休暇(慶弔休暇など)の種類、有給休暇・無給休暇・欠勤の違いを分かりやすく解説します。会社に勤め始めたら知っておきたい、休暇の基礎知識をわかりやすくまとめました。
目次[非表示]
- 1.法定休暇とは
- 1.1.休日・休暇の違いとは
- 1.2.法定休暇/法定外休暇・法定休日/所定休日の関係
- 2.法定休暇の種類
- 2.1.年次有給休暇
- 2.2.生理休暇
- 2.3.出産・育児・介護に関する休暇/休業
- 2.4.裁判員休暇
- 3.法定外休暇(特別休暇)の導入例
- 4.無給休暇と欠勤
- 5.まとめ
法定休暇とは
「法定休暇」とは法律で定められている働かなくてもよい日のことです。具体的には労働基準法で定められた「年次有給休暇」や「産前産後休業」等、育児介護休業法で定められた「育児休業」や「介護休業」等が該当します。
休日・休暇の違いとは
休日と休暇の違いは下記の通りとなります。
- 休日:もともと労働義務のない日。
- 休暇:本来労働義務のある日に対して、会社側が労働義務を免除している日。
混同しがちですが、もともと会社の労働日であるかどうかによって異なります。「休日」と「休暇」についてご説明しましたが、ここからさらに4つの種類に分かれます。
法定休暇/法定外休暇・法定休日/所定休日の関係
- 法定休暇:「休暇」に属し、法律で定められた働かなくてもよい日。
- 法定外休暇:「休暇」に属し、「特別休暇」と言い換えられることもある。※1
- 法定休日:「休日」に属し、労働基準法で定められた毎週必ず休む必要のある日。※2
- 所定休日:「休日」に属し、企業ごとに就業規則等で定めた休日。
※1
企業が独自に定めている休暇であり、法律で義務付けられているわけではないため、給料の有無や取得条件は企業側が自由に決めることができます。
※2
変形労働時間制を適用している事業者は4週間を通じて4日以上の休日を与える必要があります。
法定休暇の種類
「法定休暇」は各種法律で定められた労働者の権利となるため、企業側は従業員より申請のあった場合は拒否することができません。
その休暇に対する給与の支払い義務については年次有給休暇以外法律で定められていないため、企業側に確認をする必要があります。
- 年次有給休暇
- 生理休暇
- 妊娠休暇・通院
- 産前産後休業
- 出生時育児休業
- 育児休業
- 子の看護休暇
- 介護休暇
- 介護休業
- 裁判員休暇
それぞれ見ていきます。
年次有給休暇
年次有給休暇は、賃金を保証しながら労働が免除される休暇となります。
年次有給休暇 |
1.付与条件 |
|
2.付与日数 |
|
|
3.賃金支払い義務 |
|
|
4.取得義務 |
|
(※3 年次有給休暇の付与日数)
勤続年数に応じて年間付与日数が増えていきます。
出典:厚生労働省「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」
生理休暇
生理休暇は、生理日の就業が著しく困難な女性が請求した際に取得可能な休暇です。日数に関しては上下限共になく、1日単位・半日単位・時間単位での取得が可能です。有給でも無給でも差し支えないとされていますが、様々な理由で取得が浸透しづらいのが現状です。
症状の強弱は個人によって異なることで周りの目を気にしてしまうことや、申請先の上司が男性であること、職場への迷惑をかけたくないなどが挙げられます。
出産・育児・介護に関する休暇/休業
次に、出産・育児・介護に関する休業についてです。
妊娠休暇・通院 |
|
産前産後休業 |
|
出生時育児休業 |
|
育児休業 |
|
子の看護休暇 |
|
介護休暇 |
|
介護休業 |
|
「介護休暇」と「介護休業」の違いは、「介護休暇」はデイサービスなどの送り迎え等の短期利用に対しての休暇なのに対し、「介護休業」は要介護状態になった家族の受け入れ先選定や介護方針決定など比較的長期の休業を想定した休業制度です。休業による離職防止の観点で施行されています。
(※4 厚生労働省が標準とする妊婦健診期間)
裁判員休暇
最後に、裁判員休暇です。これは裁判員として選出されて参加する場合に必要な日数や時間に対して取得可能な休暇です。
「法定休暇」として明記はされていないものの、裁判員制度により選出されることは「公の職務の執行」にあたり、労働基準法第7条の公民権行使の内容と合致するため認められるとされています。
裁判員に選出された場合は余程の業務支障による損益をきたすことがない限りは辞退することが認められていないため、企業側もそれに対する休暇措置を実施する必要があります。
法定外休暇(特別休暇)の導入例
ここまでは就業上必要不可欠な「法定休暇」について説明してきましたが、企業ごとの福利厚生にあたる「法定外休暇」については独自のルールで運用しています。
今回は一般的に導入の多い「法定外休暇」に着目してご紹介していきます。
夏季休暇 |
|
年末年始休暇 |
|
結婚休暇 |
|
忌引休暇 |
|
リフレッシュ休暇 |
|
バースデー休暇 |
|
法定外休暇(特別休暇)は企業独自の福利厚生なので、独自の運用ルールで様々な休暇を採用している企業もあります。
無給休暇と欠勤
ここまで、さまざまな休暇の種類をみてきました。 無給休暇は有給休暇の対義語で、給料が支払われない休暇のことです。一方、 欠勤とは労働義務を果たせなかったことを意味します。
無給休暇も欠勤も、労働日に休みを取得して、その日の賃金が支払われないという点においては同じです。ただし、労務管理上は区別して取り扱う必要があります。
(有給休暇・無給休暇・欠勤の違い)
区分 |
有給休暇 |
無給休暇※ |
欠勤 |
定義 |
労働基準法で定められた、労働者が一定期間働くと取得できる休暇 |
給与が支払われない休暇の総称。会社が独自に定めた制度 |
労働義務があるにも関わらず、正当な理由なく会社を休むこと |
給与 |
支払われる |
支払われない |
支払われない |
会社・評価への影響 |
なし |
少ない
(事前申請の場合)
|
悪い (特に無断欠勤の場合昇進や賞与に影響が出る可能性がある) |
例 |
年次有給休暇 |
生理休暇 |
無断欠勤 |
※注意:会社の就業規則によって、無給休暇の取得条件や扱いは異なる場合があります。
労働契約により従業員は会社が定める休業日・休暇以外の日は労働の義務があり、この労働の義務を免除できるのが休業や休暇です。欠勤は勤務しなければならない日に、休暇制度を利用せずに休むことを意味しますので、賞与の査定や人事評価に反映させるとしている会社もあります。
まとめ
今回は「法定休暇」を中心に様々な休暇について取り上げました。「法定休暇」や「法定外休暇」など種類が多く、管理が大変だと思われているご担当者の方も多いかと思います。
そんな煩雑な管理も勤怠管理ソフトを導入することで、年次有給休暇であれば年間休暇取得カウントや未取得者へのアラート通知、年次有給休暇管理簿の作成などが簡単に管理可能です。また、多種多様な休暇の一括管理やWeb上での申請によるペーパーレス化などの効率化が実現できます。働き方は日々改正されていますので、一度自社の休暇管理の見直しをされてみてはいかがでしょうか。
>勤怠管理システムの導入事例
ナイスシステムでは、業務ソフトメーカー認定のインストラクターが、30社以上の業務ソフトを取扱いサポート致します。マルチベンダーとして中四国(四国四県・広島・岡山)を中心に活動しています。それ以外のエリアではオンラインでもご対応致します。
ご興味のある方はぜひ、無料でダウンロードできるこちらの資料をご覧ください。
>ナイスシステムサービス紹介資料のダウンロード【無料】はこちら