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随時改定(月額変更届)とは?随時改定の要件や手続きの手順を解説

随時改定(月額変更届)とは、収入が大きく変わったときに社会保険料の計算基準となる「標準報酬月額」をその変動に合わせて見直すための処理のことです。昇給・降給、ボーナス増減など、収入に変化があった場合は、この手続きが必要となる場合があります。

本記事では、随時改定(月額変更届)の要件や注意事項、手続きの手順を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.随時改定(月額変更届)とは?
  2. 2.随時改定の要件
    1. 2.1.昇給または降格等で、固定的賃金が変動した
    2. 2.2.賃金変動月から3ヶ月間、支払基礎日数が17日以上あること
    3. 2.3.給与変動により標準報酬月額に2等級以上の差が生じたとき
  3. 3.随時改定の注意事項
    1. 3.1. 非固定賃金の取り扱い
    2. 3.2.随時改定の対象にならない被保険者
  4. 4.月額変更届(随時改定)の手続き
    1. 4.1.記入内容
    2. 4.2.提出時期・提出先・提出方法
  5. 5.まとめ

随時改定(月額変更届)とは?

まず、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)の額は、従業員の報酬月額から算定した「標準報酬月額」に保険料率を乗じて算出します。

従業員の報酬は昇給や降給等によって変動するため、年に1度、標準報酬月額の見直しが行われます。これを定時決定(算定基礎届)といいます。

しかし、年の途中に昇給や降給などで大幅に報酬が変更した従業員は、変更が発生した時点で手続きを行い、社会保険料額を見直さなければなりません。この見直しが「随時改定」です。

月額変更届とは、この随時改定を行う際の手続き書類「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届」の略称です。


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随時改定の要件

昇給または降格等で、固定的賃金が変動した

固定的賃金とは、支給額や支給率が決められたものを指します。

イメージが浮かびやすいものは基本給ですが、それ以外に通勤手当や家族手当など、月々の支給額が決まっているものも固定的賃金に含まれます。 固定的賃金の変動については以下のようなパターンがあります。

  • 基本給の昇給・降給
  • 給与体系の変更
  • 基礎単価の変更
  • 歩合率の変更
  • 各種手当における支給額の変更

賃金変動月から3ヶ月間、支払基礎日数が17日以上あること

支払基礎日数とは、給与を計算するときの対象日数をいいます。随時改定の対象となるのは、支払基礎日数が1月あたり17日以上の場合です。

賃金の変動後、1カ月でも17日未満の月があれば、随時改定の対象にはなりません。

給与変動により標準報酬月額に2等級以上の差が生じたとき

標準報酬月額とは、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の保険料や保険給付の額を計算するときの基礎となる報酬額をいいます。

変動前の標準報酬月額と、変動月から3ヶ月間の給与総額の平均による標準報酬月額の等級との間に2等級以上の差が生じた場合は、随時改定の対象となります。


(例)4月に基本給(固定的賃金)が上がった従業員の場合



4月より前の標準報酬月額と、4・5・6月の平均月額に応じた標準報酬月額とを比較し、2等級以上の差があった場合、随時改定の対象になります。

標準報酬月額等級表の上限または下限にわたる等級変更の場合は、2等級以上の変更がなくても随時改定の対象となります。


随時改定 等級表

出典:日本年金機構「随時改定」

随時改定の注意事項

非固定賃金の取り扱い

従業員の報酬は大きく分けて固定的賃金と非固定的賃金の2つがあります。固定賃金は前述の通りですが、支払額が流動的な手当は固定的賃金に含まれません。非固定的賃金の具体的な項目は、

  • 残業代
  • 夜勤手当
  • 休日勤務手当

などがあります。

随時改定の対象にならない被保険者

随時改定の対象にならない被保険者としては、以下のケースが挙げられます。

  • 休職しており休職給を受けている場合。
  • 固定的賃金は増加したが、残業手当等の非固定的賃金が減少したことで、2等級以上の差が生じている場合。
  • 固定的賃金は減少したが、非固定的賃金が増加したことで、2等級以上の差が生じている場合。

(固定的賃金の変動と月額変更の関係)

​​​​​​随時改定 対象とならない場合

これら随時改定の対象にならないケースもあります。

月額変更届(随時改定)の手続き

記入内容

    月額変更届の必要箇所に記入していきます。

    • 提出日
    • 提出者記入欄に届出事業所の情報(事業所整理記号など)
    • 個人別記入欄の各項目(被保険者の整理番号、氏名、生年月日、改定年月など)


    (被保険者報酬月額変更届)


    出典:日本年金機構「随時改定に該当するとき(報酬額に大幅な変動があったとき)」

    提出時期・提出先・提出方法

    月額変更届の提出は、随時改定があった際「速やかに」提出する必要があります。

    提出先は、所轄の日本年金機構または社会保険事務センターです。会社が加入している健康保険が協会けんぽ(全国健康保険協会)の場合、協会けんぽへの提出は不要です。協会けんぽ以外の組合健保、共済組合に加入している場合は組合へも月額変更届を提出しなければなりません。

    提出方法は、「窓口へ直接提出・郵送・電子申請」のいずれかを選択できます。提出後、「被保険者標準報酬改定通知書」が返却されます。

    まとめ

    随時改定(月額変更届)とは、収入が大きく変わったときに社会保険料の計算基準となる「標準報酬月額」をその変動に合わせて見直すための処理のことです。

    手続き自体は複雑ではないものの、記入漏れやミスによって標準報酬月額の等級が変わり社会保険料額が変わってしまうことがないよう注意が必要です。

    給与システムの中には、随時改定の対象者を自動判定してくれるものや、月額変更届についても作成から電子申請まで一貫して行える機能が備わっているものが多いです。このようなシステムを活用して、業務の効率化を図る取り組みを進めてみてはいかがでしょうか。


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