2023年(令和5年)の年末調整 変更点のポイント
年末調整業務はご担当者にとって、重要な業務の一つと言えるでしょう。基本的な手続きの流れは変わらないものの、毎年何らかの変更点は発生するため、しっかり内容を把握し、従業員へのサポート準備を整えておくことが大切です。本記事では、2023年(令和5年)の年末調整の変更点についてご紹介します。
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2023年(令和5年)の年末調整の変更点
2023年(令和5年)の年末調整においての対応が必要な改正点は以下の通りです。
- 非居住者である扶養親族の適用要件変更
- 住民税に関する事項の記載項目の追加
- 住宅ローンの控除率、控除期間の見直し
上記を踏まえ、2023年(令和5年)の 年末調整のポイントを解説していきます。
非居住者である扶養親族の適用要件変更
2020年の法改正により、扶養控除の対象親族の範囲から、次のいずれにも該当しない年齢30歳以上70歳未満の非居住者は、控除対象扶養親族から除外されることになりました。
<年齢30歳以上70歳未満の非居住者のうち、扶養控除の対象となる人>
- 留学により国内に住所および居所を有しなくなった者
- 障碍者
- 扶養控除の適用を受けようとする居住者から、その年において、生活費または教育費に充てるための支払いを38万円以上受けている者
(国外居住(非居住者)扶養親族の適用範囲変更)
非居住者である扶養家族 |
2022年(令和4年)まで |
2023年(令和5年)以降 |
|
16〜29歳 |
〇 |
〇 |
|
30〜69歳 |
留学生 |
〇 |
〇 |
障碍者 |
〇 |
〇 |
|
38万円以上受けている |
〇 |
〇 |
|
上記以外 |
〇 |
× |
|
70歳以上 |
〇 |
〇 |
また、「留学により国内に住所及び居住を有しなくなった者」と「38万円以上の送金を受けている者」に該当する場合は、証明用の確認書類を提出する必要があります。
(扶養控除に関する確認書類)
非居住者である扶養家族 |
必要書類 |
|
16歳以上30歳未満または70歳以上(従来通り) |
|
|
30歳以上70歳未満 |
その年において、生活費又は 教育費充当のための支払いを 38万円以上受けている |
|
留学生 |
|
|
障碍者 |
|
住民税に関する事項の記載項目の追加
2022年(令和4年)の税制改正により、2023年(令和5年)分から、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の「住民税に関する事項」に、「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」を記載する欄が追加されました。
出典:国税庁PDF「令和5年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
住民税に関する事項は、2022年(令和4年)までは「16歳未満の扶養親族」についてのみが記載事項でした。退職手当等を有する配偶者・扶養親族欄が追加となった背景には、所得税扶養の所得要件には退職金を含む一方で、住民税扶養の所得要件には含めないという扱いになっていることがあげられます。
このような背景から、扶養親族について「その年の退職所得を含まない所得の見積額」の情報を記載する欄が追加されました。
住宅ローンの控除率、控除期間等の見直し
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、住宅ローンなどを利用してマイホームを新築、増改築した際に受けられる税制優遇措置です。「令和4(2022)年以降に新たに住宅を新築した場合」の住宅借入金等特別控除について、適用期限と控除率、控除期間が見直されました。
この変更の背景には、2050年カーボンニュートラル実現に向けた対策や、社会環境の変化などに対応した豊かな住生活の実現に向けて、住宅の省エネ性能向上・長期優良住宅の取得推進といった目的があります。
2021年度の税制改正では、控除期間を13年にする特例措置が延長されました。
2022年度は、この措置を2025年末まで延長することになり、合わせて控除率、控除期間などが次のように見直されました。
改正内容の概要はこちらです。
- 住宅ローン控除の適用期限が4年延長。※2022年~2025年12月末までに入居した者が対象。
- 控除率が1%から0.7%に引き下げ。
- 住宅ローン控除の適用対象者の所得要件が、合計所得金額3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げ。
- 合計所得金額1,000万円以下の者につき、令和5(2023)年以前に建築確認を受けた新築住宅の床面積要件が40平米以上に緩和。
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2024年(令和6年)の特別徴収の本人通知書の受取方法
令和5(2023)年分の年末調整処理が終了した後、「給与支払報告書」を市区町村に提出する必要がありますが、この通知の受取方法が改正されました。
eLTAX経由で給与支払報告書を提出した場合、「納税義務者(従業員)」への特別徴収税額通知について、電子データを選択することが可能となりました。
実際にeLTAXでの操作画面 で、電子データを選択した場合、紙の通知書は送付されませんので、従業員への配布が電子データでできないのであれば「書面」を選択することになります。
まとめ
年末調整業務は、毎年のように税制改正の影響を受けて書面が変更され、年々複雑になっています。そのため、申告手続きをできるだけ簡素化できるよう、国を挙げて年末調整手続きのデジタル化が進められています。
ペーパーレス化を進めれば、人事・労務担当者の業務負担が軽くなるため、積極的に導入を検討してはいかがでしょうか。経理業務や人事労務業務を担当されている方の2023年の年末調整業務の備えになれば幸いです。
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