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2022年(令和4年)年末調整 変更ポイントを解説します

ここ数年、2019年の税制改正から続く影響により、毎年年末調整業務に何かしらの変更点が生じています。2021年には押印が廃止され税務署長の事前承認が不要になるなど、手続きのデジタル化が推進されました。本年2022年の年末調整は、申告書様式に大きく変更がある改正等はありませんが、影響する業務のポイントをまとめました。

混乱しやすい変更点についてぜひ、ご確認ください。

目次[非表示]

  1. 1.2022年(令和4年)の年末調整の変更点とポイント
    1. 1.1.控除証明書の電子データ提出の適用範囲が拡大
  2. 2.2023年(令和5年)度以降の年末調整で対応すること
    1. 2.1.住宅ローン控除の要件変更
      1. 2.1.1.適用期限の延長
      2. 2.1.2.上限額や控除額の変更
    2. 2.2.非居住扶養親族の扶養控除の適用範囲変更
  3. 3.まとめ


2022年(令和4年)の年末調整の変更点とポイント

2022年4月にあった源泉所得税の税制改正により、年末調整にかかる変更が大きく分けて3点発生しました。


適用年度
内容

 2022年(令和4年)

1.控除証明書の電子データ提出の適用範囲が拡大

 2023年(令和5年)

2.住宅ローン控除の要件変更

 2023年(令和5年)

3.非居住者扶養親族の適用範囲変更


この3点はそれぞれ、2022年での年末調整で対応が必要な変更点が1つ、2023年での年末調整で対応が必要な変更点が2つとなっています。まずは2022年分からみていきます。


控除証明書の電子データ提出の適用範囲が拡大

年末調整で所得控除の適用を受けるためには、勤務先に各種書類の提出が必要です。2020年以降は、これら申告書類の電子化要件が緩和されています。これまで年末調整で所得控除の適用を受けるために、勤務先へ書面で提出していた下記2点が、電子データでの提出が可能となりました。

  • 社会保険料控除証明書
  • 小規模企業共済等掛金控除証明(払込証明書)

ちなみに、2020年以降電子データで提出可能な書類は、生命保険料控除証明書や地震保険料控除証明書、住宅ローン控除申告書などでしたね。


▶令和3年の年末調整はどうだった?気になる方はこちらの記事もどうぞ。
 →令和3年 年末調整手続き 改正のポイント

  令和3年 年末調整手続き 改正のポイント 今年も年末調整手続きための、年末調整関連申告書を従業員へ配布・回収する時期が近づいてきました。 昨年から続くコロナ対策等で多忙を極めている、総務・経理担当者にとって、何かの記入箇所が多い、年末調整関連申告書類の配布・回収は、多くの手間と時間を取られるため、頭を悩ます事務処理となっています。 昨年の大幅な改正に続き、今年も若干ですが、年末調整の内容が変更になっています。 それではその改正のポイントをご覧ください。 株式会社ナイスシステム


2023年(令和5年)度以降の年末調整で対応すること

2023年での年末調整で対応が必要な変更点が2つあります。「住宅ローン控除の要件変更」と「非居住扶養親族の扶養控除の適用範囲変更」です。こちらも内容を解説していきます。


住宅ローン控除の要件変更

適用期限の延長

住宅ローン控除の適用期限は2021年の12月31日とされていましたが、2022年の税制改正で2025年年の12月31日まで期限が延長されることになりました。


上限額や控除額の変更

期限が延長に伴って、住宅ローンの額面上の上限額や控除額が変更となりました。2022年から2025年までの期間で入居した場合の控除率や控除期間、控除限度額などの各種要件が下記のように変更になっています。

  1. 住宅ローン控除率が1%→0.7%に引き下げ
  2. 新築住宅の控除期間が10年→13年に延長(中古住宅は現行の10年で据え置き)
  3. 省エネ住宅の借入上限が上乗せ、一般住宅の借入上限が引き下げ。
  4. 適用対象者の所得要件を合計所得金額3,000万円以下2,000万円以下に引き下げ
  5. 既存住宅の適用対象となる築年数の要件が廃止。
  6. 新築住宅の床面積(マンションは内法面積)要件を50㎡以上→40㎡以上に緩和。(合計所得金額1,000万円以下に限る)
  7. 控除余剰額の住民税からの控除に対する上限額が13.65万円→9.75万円に引き下げ。
  8. 借入金残高証明書の添付が不要に。

2023年年末調整 住宅ローン控除の要件変更

出典:財務省 パンフレットPDF「令和3年度税制改正」より


今回の改正で留意しておくべきポイントは、上記の改正内容のうち「控除率」「控除期間」でしょう。

2021年度までは、住宅ローン控除の控除率は1%でした。しかし、2022年度以降の申請分からは控除率が0.7%になります。控除期間は、原則13年(2024年以降に入居する場合は10年)となっているため、最長で2021年度の住宅ローン控除が終了する2034年まで、2種類の控除率が混在することになります。


非居住扶養親族の扶養控除の適用範囲変更

2020年度の税制改正により、所得税法の被保険者対象となる親族の要件が変更になりました。2023年以降適用される内容は、国外に居住する「非居住者」の親族のうち、控除の対象となる扶養家族の範囲から「30歳以上70歳未満の非居住者」が除外されます。

ただし、「30歳以上70歳未満の非居住者」でも下記に該当する人は現行の通り扶養控除の対象となります。

  1. 留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者
  2. 障がい者
  3. 扶養控除の適用を受けようとする居住者から、その年において、生活費や教育費等で38万円以上の送金を受けている者

また、年末調整で上記1・3の該当者に対して扶養控除の適用を受ける場合、扶養控除等申告書以外に以下の書類が必要となります。

  • 1に該当する場合は、扶養控除等申告書の受領時に留学ビザ等の相当書類。
  • 3に該当する場合は、対象者であることを明らかにする書類(現行の送金関係書類)。

2に関しては提出書類は不要です。


まとめ

2022年度の年末調整に大きな影響はないと見受けられるため、翌年に向けて今のうちからしっかりと変更内容を整理していきましょう。

ここ数年の税制改正で、年末調整に必要な書類の多くが電子データで提出できるようになりました。年末調整業務でもっとも手間がかかることは、書類の配付・回収と確認、そして計算業務ではないでしょうか。これらの業務がデジタル化すれば、手作業のまま処理し続けるのに比べて、業務にかかるコストは何倍・何十倍と差が出るでしょう。

現在お使いの給与ソフトと、従業員情報や申告書情報が連携でき、年末調整の手続きをより簡略化・自動化できるようなツールがあれば、手続きを早くかつ正確に終えることが可能になります。検討しているご担当者様はぜひご相談ください。


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