バックオフィスのDX化が進まない理由、失敗事例から成功ポイントを解説-後編-
近年、企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されています。様々な企業で業務効率や労働環境を改善するためにDXの取り組みが求められています。一方で、DXをうまく進められない企業や、DXによる成果を実感できていない企業が多いのも事実です。
本記事は、「バックオフィスのDX化が進まない理由・失敗例から成功ポイントを解説ー前編-」の後編です。ぜひ最後までご覧ください。
目次[非表示]
- 1.DXを成功させるためのポイント
- 1.1.経営層のリーダーシップの重要性
- 1.2.目的の明確化
- 1.3.十分な予算の確保
- 1.4.既存業務の見直し
- 1.5.段階的な導入・推進
- 1.6.必要な人材の確保
- 1.7.社内の理解と協力、コミュニケーション
- 1.8.定期的な進捗状況の測定と軌道修正
- 2.成功事例から学ぶ
- 2.1.クラウドを活用した総務業務のペーパーレス化
- 2.2.データ分析による経営判断の高度化
- 2.3.AIを活用した経費精算の自動化
- 3.まとめ
DXを成功させるためのポイント
経営層のリーダーシップの重要性
DX化を成功させるためには、経営層が率先して取り組み、全社を巻き込むことが重要です。
経営層は、DX化の重要性を理解し、必要なリソースを投入する必要があります。その上で社員、顧客などを巻き込んで明確なビジョンと戦略を策定する必要があります。
一番の理想は社長自らが先頭に立ち、DXを推進することですが、大半の社長は営業活動、お客様対応等で日々忙しくしていることでしょう。そのため、会社の中で顔が広く、全社的な判断、調整ができる右腕をDX責任者として任命することも視野にいれると良いでしょう。また部門横断的な意思決定権限を一時的に付与することも大切です。
目的の明確化
DXを成功させるためには、明確なビジョンと目標を設定することが重要です。
- ビジョン:DXによって何を達成したいのかという具体的な姿。
- 目標:ビジョンを実現するために何をするのかという具体的な行動指針。
ビジョンと目標は、定量的な指標で設定することが望ましいです。また、定期的に進捗状況をレビューし、必要に応じて目標を修正することも重要です。
十分な予算の確保
DXを成功させるためには、十分な予算を確保することが重要です。DXには、
- システム導入費用
- 人件費
- コンサルティング費用
など 、様々なコストがかかります。必要なコストを正確に把握し、予算計画を立て適切に管理する必要があります。
既存業務の見直し
DXに不可欠なハードウェアやソフトウェアの導入に時間を要するのはもちろんですが、それらが社内に定着するまでの時間もかかります。また、デジタルツールを従来の業務に取り入れるべく新しい業務フローを検討したり、場合によっては働き方を見直したりする必要も出てくるでしょう。
既存の業務をあらかじめ見直しておかないと、せっかく便利なDXツールを導入しても、現場で使用されないまま従来の業務が継続されるというケースになってしまいかねません。
また、既存業務の見直しがなかなか進まない原因について、以下がよくある例です。
- そもそも業務プロセスを変えたくない(単純にみえる業務でも一つ変更すると、前後左右にある業務に影響してしまい手間)。
- 自分たちの業務プロセスは効率的で優れていると思っている。
- 本来あるべき状態とは?がわからない。(ゼロベース考えることが難しい)
既存のシステムにこだわりがある
まずは業務フローを可視化することで、重複した作業や、非効率なやり方をしている作業など、体系的に整理を行うことがポイントです。
(例:業務フローの可視化)
段階的な導入・推進
DX化は、いきなり大規模なシステムを導入するのではなく、段階的に導入していくことが重要です。最初は、小規模なプロジェクトから始めて、成功体験を積み重ねながら、徐々に規模を拡大していくべきです。社内の理解を得やすく、失敗のリスクも軽減することができます。
小規模な段階での修正であれば、実はそこまで重要ではない「1つの例外」に執着してしまい時間がとられる、といった場面でも早めに対策がたてられるでしょう。
必要な人材の確保
DXを成功させるためには、必要なスキルを持つ人材を確保することが重要です。必要なスキルとしては、以下のようなものが挙げられます。
- デジタル技術に関する知識
- データ分析スキル
- プロジェクトマネジメントスキル
- コミュニケーションスキル
- 変化への適応力
チーム体制を整える際、類似度の高いプロジェクトの経験者をチームに組み入れることが大切です。また「現行業務に詳しい人」と「ITツール製品に詳しい人」が同じ方向を向けるように戦略的にチームを編成する必要があります。
社内の理解と協力、コミュニケーション
DXを成功させるためには、社内の理解と協力が不可欠です。経営層だけでなく、現場の社員もDXの重要性を理解し、積極的に協力する必要があります。このとき、経営層と現場の認識のズレがあると、意外な落とし穴になることがあります。この落とし穴について現場視点からみた2つのケースをみてみましょう。
- 背景がわからないケース
なぜその戦略に至ったのか、それを実行した場合どういう世界観に紐づくのかといったところを現場が理解できず現場の行動が遅れてしまうケース。経営層からすれば立案に至るまでいろいろな情報を加味しながら多角的に分析し、様々な思考を経て完成させたはずです。
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具体的な行動まで落とし込めていないケース
経営層は会社全体の利益を見て目標を立てますが、現場としては具体的にどのようなことをやればいいのかまでは落とし込めていないケース。
このズレを埋めるためにはどんなポイントがあるでしょうか。それぞれみていきます。
- 背景がわからないケース
➡納得感を得る現場の状況を把握した上で出した戦略であるということが伝わるようにしないと、納得感を得るのは難しいでしょう。 - 具体的な行動まで落とし込めていないケース
➡全体俯瞰で効率化できる部分に着目する。現在個々人で行っている業務を組織全体で解消できないかという視点で見ること。具体的に何をすれば良いかを行動計画に落とし込み、結果的に新しい施策に対してよりポジティブに取り組むことができるのではないでしょうか。
関係者がDX化の目的や意義を理解し、社内の理解を得ること・コミュニケーションを図ることをセットで取り組むことが大切です。
定期的な進捗状況の測定と軌道修正
DXを成功させるためには、定期的に進捗状況を測定し、必要に応じて軌道修正することが重要です。目標達成度や課題などを把握し、必要に応じて計画を変更することで、より効果的なDXを実現することができます。
成功事例から学ぶ
クラウドを活用した総務業務のペーパーレス化
A社では、バックオフィス部門の業務効率化を目的に、クラウドを活用したペーパーレス化を推進しました。契約書や社内文書などの紙文書をクラウド上で一元管理することで、書類の検索や共有が容易になり、業務の効率化が図られました。
これまでは受注処理業務の際 、ファックスなどで届いた注文書を紙に出力してから発注手続きをしており、その結果、保管する書類がすぐに溜まってしまうなどの課題が生まれました。
ペーパーレス化によって、紙文書の保管スペースが不要になり、オフィススペースの有効活用にもつながりました。結果として、総務部門の生産性が向上し、コスト削減効果も得られました。
データ分析による経営判断の高度化
B社では、収益管理や経営報告業務に課題があり、また、社員の業務状況の把握が出来ないという問題もありました。ITツールの導入でバックオフィス部門で蓄積された膨大なデータを活用し、経営判断の高度化を図りました。
ツール導入によって収益管理や日報を効率的に管理・把握できる環境が実現し データを分析することで、これまで見えていなかった業務の課題や改善点を明らかにし、効果的な施策を立案できるようになりました。
また、リアルタイムでデータを可視化することで、経営層は迅速かつ的確な意思決定が可能となりました。データ活用による経営判断の高度化は、企業の競争力強化につながっています。
AIを活用した経費精算の自動化
C社では、経費精算業務の効率化を目的に、AIを導入しました。
AIが経費申請書の内容を自動的に読み取り、経費の分類や計算を行うことで、経費精算のプロセスを大幅に簡素化しました。また、AIによるチェック機能により、申請ミスや不正の防止にも役立っています。経費精算業務の自動化によって、経理部門の工数が軽減され、業務の生産性向上とコンプライアンス強化を実現しました。
まとめ
DX化は、企業競争力を強化し、持続的な成長を実現するための重要な取り組みです。DX化を成功させるためには、経営層のリーダーシップト、明確なビジョンと戦略、段階的な導入、人材育成、コミュニケーション、失敗から学ぶこと、などが重要です。
企業は、これらの点を踏まえ、自社に合ったDX化を進めていく必要があります。
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