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法定調書 電子報告義務化に対応!企業の経理担当者が知っておくこと

法定調書の電子提出義務基準は、2021年分(令和3年分)の申告より「法定調書ごとに100枚以上ある場合」となりましたが、2024年度(令和6年度)改正においては、電子提出義務基準(令和9年1月1日以後提出する法定調書が対象)を、現行の「100枚以上」から「30枚以上」へ引き下げる方向とのことです。

「法定調書」と聞いてすぐに思い浮かぶのは支払調書ですが、給与所得や退職所得の源泉徴収票といったものも含まれます。本記事では、法定調書の電子申告義務の概要や必要な準備について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.法定調書とは
  2. 2.主な法定調書の例
    1. 2.1.給与所得の源泉徴収票
    2. 2.2.報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書
  3. 3.法定調書の電子申告義務化とは
    1. 3.1.電子報告義務化の背景
    2. 3.2.電子申告義務化の対象となる書類
  4. 4.電子申告方法は?
    1. 4.1. e-Taxでの申告
    2. 4.2.光ディスク等での申告
  5. 5.システムで電子申告業務を効率化する方法
  6. 6.まとめ


法定調書とは

法定調書は、所得税法や相続税法などの法律によって、税務署に提出しなければならないと定められている書類の総称です。税務署は、特定のお金の支払いがあった場合に、その事実を届出させることで、お金の動きを把握します。適正な課税が行われているかを確認するために提出させる資料が法定調書です。

主な法定調書の例

法定調書は、全部で60種類あります。以下に一般的な例を挙げます。

給与所得の源泉徴収票

給与所得の源泉徴収票は、一般的に「源泉徴収票」と呼ばれ、給与支払いを行った事業主が発行する法定調書です。正社員、契約社員、パート、アルバイトといった雇用形態にかかわらず、従業員に給与を支払った場合は、給与所得の源泉徴収票を作成する必要があります。


(給与所得の源泉徴収票)

出典:国税庁 PDF「令和 年分 給与所得の源泉徴収票」


報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書は、一般的に事業者がフリーランスなどの取引先に対して報酬や契約金を支払った場合に発行する支払調書です。これは、所得税法や相続税法などの法律によって、事業者が税務署への提出を義務づけられている「法定調書」の一種です。原則として取引先に報酬などを支払った年の翌年1月31日までに、税務署に提出します。


(報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書)

出典:国税庁 PDF「[手書用] 令和 年分 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」


法定調書の電子申告義務化とは

法定調書の電子申告義務は、法定調書の種類ごとに、前々年に提出すべきであった法定調書の提出枚数が100枚以上であるものが対象となり、e-Tax (国税電子申告)、光ディスク等(CD・DVDなど)又は国税庁長官の認定を受けたクラウドサービス等による提出が必要となります。

つまり、これらの種類ごとに、2年前に発行した法定調書が100枚以上ある場合、当年の申告の際には電子申告が義務づけられることになります。


出典:国税庁「e-Tax等による法定調書の提出が義務化されています(チラシ)(令和5年10月)


電子報告義務化の背景

税務手続きの電子化は、大法人の法人税電子申告に始まり、法人税にかかる申告データを円滑に提出させる環境整備を目的として推進されています。

これまで電子申告の要件は、前々年に発行した法定調書が「法定調書ごとに1,000枚以上ある場合に電子申告をしなければならない」というものでした。

これが、2018年度(平成30年度)の税制改正により、税務手続きでの利便性の高い納税環境整備、社会全体のコスト削減と企業の生産性向上を図るため、2021年分(令和3年分)の申告から「法定調書ごとに100枚以上ある場合」に引き下げられることになりました。

電子申告義務化の対象となる書類

電子申告義務化の対象となる書類は、一般的な企業では

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 退職所得の源泉徴収票
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 不動産の使用料等の支払調書

等が主な提出対象となり、これらの種類ごとに、2年前に発行した法定調書が100枚以上ある場合、当年の申告の際には電子申告が義務づけられることになります。

電子申告方法は?

電子申告の方法には、e-Taxを利用する方法と、光ディスク等に記録する方法とがあります。それぞれの申告方法と必要な準備についてご紹介しましょう。

 e-Taxでの申告

e–Taxは国税の電子申告・納税システムです。e–Taxを利用するには、以下の3つの準備が必要になります。

  1. 利用者識別番号を取得する
    e–Taxの利用には、半角16桁の番号からなる利用者識別番号が必須です。利用者識別番号は、e–Taxホームページ「e–Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」で電子申告開始届出書を作成・送信すると簡単に取得できます。
  2. 電子証明書を取得する 
    税務に関わるデータを送信する際には、本人が作成し、改ざんされていないことの証明が必要です。その証として、電子証明書に裏付けられた電子署名を入れる必要があります。電子証明書の取得方法については、e–Taxホームページを参照してください。
  3. 対応ソフトを用意する
    e–Taxを利用するには、e–Taxソフトが必要になります。e–Taxソフトでは、以下の法定調書(および同合計表)を作成することができます。

e–Taxソフトで作成できる書類

  1. 給与所得の源泉徴収票

  2. 退職所得の源泉徴収票・特別徴収票

  3. 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

  4. 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(社会保険診療報酬基金用)

  5. 不動産の使用料等の支払調書

  6. 不動産等の譲受けの対価の支払調書

  7. 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

  8. 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表

  9. 支払調書等合計表付表(e–Tax提出分)


光ディスク等での申告

光ディスク等を利用すれば、1枚につきファイル数の上限1,000枚など、大量の調書を一度に提出できます。ただし、光ディスクとは、CDやDVD、FD、MOなどを指し、USBメモリーやSDカードは含まれていません。USBメモリーやSDカードを使っての提出はできませんので注意しましょう。

光ディスク等で申告をする際は、「支払調書等の光ディスク等による提出承認申請書(兼)支払調書等の本店等一括提出に係る承認申請書」を、あらかじめ所轄の税務署に提出し、税務署長の承認を受けておかなければなりません。


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システムで電子申告業務を効率化する方法

年末調整から法定調書発行までの一連の業務は、企業の労務担当にとって年間の最大行事と言っても過言ではありません。

電子申告に対応した法定調書システムを活用すると、情報管理だけでなく、報酬等の支払金額等を入力するだけでそのまま税務署へ提出が可能な法定調書が作成できます。システムでできることの一例がこちらです。

  • 作成から提出までの業務が一気通貫で自動化。
    給与・賞与額や報酬等の支払金額を入力するだけで、源泉徴収票や支払調書、法定調書合計表を自動作成できます。
  • 支払調書提出有無などの自動判定でミスや手戻りを最低限にする。
    法定調書の提出有無を自動判定するため、システムに任せるだけで正しく申告業務を行えます。
  • 給与システムと連携して年末年始の業務を改善。
    ご利用の給与システムから給与・賞与データや年末調整データを連携し、電子申告できるため、年末年始の業務にかかる時間と手間を大幅に作成できます。


(法定調書システムを利用した処理の流れ)

法定調書_05


法定調書の電子申告に対応するシステムであれば、次年度以降も過去データを参照しながら手順に沿ってデータを作成できるので、より効率的に作業を進めることが可能です。

まとめ

年末調整の手続きについては、毎年のように法改正の影響を受けて申告書の書き方も煩雑化しており、これまでも担当者の負担が大きいと問題になっていました。政府はこの問題も解決すべく、年末調整手続きも電子化を推奨しています。

法定調書の電子報告義務化にスムーズに移行するためには、最新の情報を収集し、自社の状況に合わせて最適な対策を講じることが重要です。


>法定調書システムの導入事例

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