工事別原価管理とは何か?工事別原価管理のやり方とソフトウェア選定ポイントをご紹介
2024年問題もあり、建設業界のコスト改善への対策は喫緊の課題です。工事別原価管理とは、外注費や材料費など、どれだけの原価がかかるかを管理し、コスト改善を行うことです。今回は、この原価管理の中でも”建設工事”について、特徴や管理手法の例を挙げて解説していきます。
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一般的な原価と建設工事原価の違い
一般的な原価とは何か?
一般的には販売する商品に対して、仕入を行った時の商品の値段を原価と言います。
例えば110円で販売する商品に対して、仕入値が88円だった場合、原価=110円となり、利益は110円-88円で算出されます。
つまり、この商品を一つ販売したときに、22円の利益が生まれることになります。
一方、建設工事の原価はどうでしょうか?
建設工事は、建物完成まで工数がかかることもあり、仕入れるモノも多いと考えられます。
建設材料を業者から仕入れた際の費用であったり、大工さんを外注先へ依頼した際の費用であったり、あるいは建設事務所の運営費用なども含まれるのではないでしょうか。
つまり原価とは「工事や製品を作るのにかかった費用」のことで、主な費目としては材料費、労務費、外注費、経費などに分けることができます。
4つそれぞれ見ていきます。
- 材料費:工事において材料の使用によって生じた金額です。
- 労務費:工事行うために使用した労働力によって生じた金額のことで、人件費という考え方もできるでしょう。
- 外注費:自社で補えない工事を協力会社へ依頼する費用と言えるでしょう。
- 経費:上記3つの材料費、労務費、外注費以外に発生したコストのことで、具体的にはオフィス代や水光熱費、機械の減価償却費、旅費交通費、通信費などが当てはまります。
こうした費目ごとの原価を把握しておくことが大切です。これを把握することで、どこに原価改善の余地があるのか見えやすくなります。
さらに、それぞれの費目は直接費と間接費に分けることができ、それぞれの区分にしたがって管理していくことが必要になってきます。
工事原価の把握は、改善すべき費目が明確になるのがメリットですが、【売上:仕入】が【1:1】の関係でなく、【売上:原価】が【1:複数】になるため、とても難しく感じられるのです。
次に、それぞれの費目を直接費と間接費に分けた場合の例をイメージ図でご紹介します。
工事別の原価管理の手法(一例)
原価の費目には主に材料費・労務費・外注費・経費の4つに分けられるということをご紹介しましたが、その中でもさらに、直接費と間接費に分けることができます。
つまり、直接材料費、間接材料費、直接労務費、間接労務費、直接外注費、間接外注費・直接経費、間接経費の8費目に分割することができます。
(イメージ図)
区分が多くなって管理が大変だという印象を受ける方もいるかもしれませんが、それぞれの費目を直接費と間接費に分けることには、大きな意味があります。
というのも、直接費は工事1件あたりにいくらかかったのかが簡単にわかりますが、間接費は複数工事に共通的に発生するので、工事1件あたりの費用を計算するのに、何らかの基準を用いて配分計算する必要があるためです。
(イメージ図)
例えば、“1件1件の受注金額の割合“に応じた、間接費の配分が基準になるかと思われます。
あるいは、“その工事に従事したのべ人数“で配分することも基準になるかもしれません。
いずれも、間接費は複数の工事にまたがり発生する費用のため、事前に配分する基準を設けておかなければなりません。
そして、直接費と間接費を、工事1件に対して適切に費用計上することで、正しい工事別の原価を算出でき、無駄なコストを見つけ出したり、適正な販売価格を見出すことができる様になります。
工事別の原価管理 ソフトウェア選定ポイント
もし、今Excelや台帳などで工事原価管理を行っているとすると、かなりの労力を要しているかもしれません。
そこで、ソフトウェアによる、工事別の原価管理に切り替えてみてはいかがでしょうか。
選定のポイントとして
- 直接費を入力したら、該当する工事の原価として認識されるか
- 間接費を計上したら、自社の基準に応じて一括配分できるか
- 労務費を入力したら、職人の単価に応じた原価が計上されるか
- 工事別の原価管理台帳を出力したら、原価要素(材料費、労務費、外注費、経費など)に分かれて台帳が出力されるか
少なくとも上記4つの様な機能を保有してる原価管理システムが必要となります。
そしてどの程度までの原価管理を自社で行うか、しっかりと見極めたうえで、ソフトウェアを選定されることをお勧めいたします。
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