ブログ

catch-img

定額減税における2024年度の年末調整(年調減税)、人事労務担当者の必要な対応

年末調整業務は人事・労務ご担当者にとって、もっとも重要な業務の1つといえるでしょう。

この記事では、定額減税における2024年度(令和6年度)年末調整について解説しています。 定額減税の概要に加え、人事労務担当者が知っておくべき年末調整における定額減税(年調減税)の手順を、申告書の変更箇所の図を交えわかりやすくご紹介しています。ぜひご参考ください。

目次[非表示]

  1. 1.定額減税とは
    1. 1.1.実施背景と内容
    2. 1.2.対象者
    3. 1.3.定額減税の実施方法
  2. 2.年調減税の対象者
    1. 2.1.納税者本人
    2. 2.2.同一生計配偶者、扶養親族(16歳未満も含む)
    3. 2.3.対象にならないケース
  3. 3.年調減税の手順
    1. 3.1.従業員へ年末調整の申告書を案内~内容の精査
    2. 3.2.年調減税額の算出と控除
    3. 3.3.源泉徴収票への記載
  4. 4.年調減税の注意点
    1. 4.1.扶養家族が減ったとき
    2. 4.2.扶養家族が増えたとき
  5. 5.まとめ


定額減税とは

実施背景と内容

定額減税の背景は、賃金上昇が物価高に追い付いていない状況を鑑み「デフレからの脱却を図るための総合経済対策」のひとつです。

内容は、納税者および配偶者を含めた扶養家族1人につき、「所得税30,000円、住民税10,000円を減税する」というものです。


    対象者

    納税者本人の場合の条件はこちらです。

    • 国内に居住している
    • 合計所得金額1,805万円(給与収入2,000万円)以下であること
    • 扶養控除等申告書を提出して甲欄適用されている

    同一生計配偶者、扶養親族(16歳未満も含む)の場合の条件はこちらです。

    • 国内に居住している
    • 合計所得金額が48万円以下(給与収入103万円)以下であること


    定額減税の実施方法

    • 所得税

      給与所得者の所得税については、2024年(令和6年)6月給与で源泉徴収する所得税額から減税分を控除します。会社が給与支払い時に「月次減税事務」を行い、年末調整時に「年調減税事務」を実施して、正しい税額と定額減税の控除額を精算します。

    • 住民税
      2024年(令和6年)6月の給与に係る住民税の特別徴収を行わず、7月から翌年5月までの間で、特別控除の額を控除した後の個人住民税の額の11分の1が毎月徴収されます。


    >詳細はこちら。図解解説しています。

      所得税・住民税の定額減税 2024年(令和6年度税制改正) 2023年年12月、2024年度(令和6年度)の税制改正で「所得税と住民税の定額減税」が正式に決まりました。この制度は、納税者本人と扶養家族を対象に所得税は3万円、住民税は1万円のあわせて1人あたり4万円を2024年6月から減税するものです。 この改正により、給与や賞与計算業務に影響が及ぶことが予測されます。そこで、給与担当者の方が改正に備え、円滑に業務を行うために押さえておくべきポイントを解説します。 株式会社ナイスシステム


    年調減税の対象者

    2024年(令和6年度)の年末調整時における事務(年調減税事務)は、定額減税の控除額をもとに年末調整時点の定額減税額にもとづき精算します。

    年末調整時の定額減税(年調減税)の対象者は、以下の条件に該当する人になります。

    納税者本人

    納税者本人の場合の条件はこちらです。

    • 年末調整の対象者

    同一生計配偶者、扶養親族(16歳未満も含む)

    同一生計配偶者、扶養親族(16歳未満も含む)の場合の条件はこちらです。いずれも2024年(令和6年)12月31日時点の条件になります。

    • 納税者と生計を一にしている

    • 国内に居住している

    • 合計所得金額48万円以下(給与収入のみ103万円以下)

    対象にならないケース

    年末調整の対象とならない従業員(給与収入2,000万円以上など)は、年調減税の対象外となります。

    年調減税の手順

    おおまかな流れはこちらです。

    1. 従業員へ年末調整の申告書を案内~内容の精査

    2. 年調減税額の算出と控除

    3. 源泉徴収票への記載

    1~3の順にみていきます。

    従業員へ年末調整の申告書を案内~内容の精査

    年調減税の実施のための各種申告書はこちらです。

    1. 給与所得者の扶養控除等申告書
    2. 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書
    3. 給与所得者の保険料控除申告書

    例年通り年末調整に必要な3種類の申告書がありますが、国税庁から事前の情報提供があり、同庁のホームページにおいて、変更を予定している年末調整関係書類が掲載(※)されました。

    変更予定箇所は、2の「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書」について定額減税に係る記載欄が追加されました。



    参考:国税庁「令和6年分年末調整に係る定額減税のための申告書」


    これに伴い「給与所得者の基礎控除申告書」については「本人定額減税対象」欄が追加され、「給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書」については「配偶者定額減税対象」欄が追加されました。

    「本人定額減税対象」欄には本人の令和6年分の合計所得金額の見積額が1,805万円以下である場合にチェックを入れます。

    「配偶者定額減税対象」欄には、本人の令和6年分の合計所得金額の見積額が1,805万円以下であり、かつ同一生計配偶者の令和6年の合計所得金額の見積額が48万円以下である場合にチェックを入れます。

    ※確定版については、令和6年9月下旬に公表予定。


    年調減税額の算出と控除

    計算の順序はこちらです。

    1. 所得金額の計算を行い差引課税給与所得金額を算出。
    2. 1の差引課税給与所得金額に所得税率を乗じて算出所得税額を求める。
    3. 2の算出所得額から住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)額を差引き、年調所得税額を算出。
    4. 年調所得税額から年調減税額を控除し、102.1%を乗じて復興特別所得税を含めた年調年税額を計算。

    出典:国税庁「給与等の源泉徴収事務に係る令和6年分所得税の定額減税のしかた」

    ここまでできたら年末調整結果を給与計算へ反映します。


    源泉徴収票への記載

    年調減税を実施した従業員の場合、令和6年分の源泉徴収票の摘要欄に「控除した年調減税額の合計」と「控除外額」を記載します。

    (例:年調減税額120,000円、控除外額0円の場合)

    出典:国税庁「給与等の源泉徴収事務に係る令和6年分所得税の定額減税のしかた」


    年調所得税額から控除しきれない場合は、「控除外額」へ発生した金額を記載します。


    年調減税の注意点

    扶養家族の増減があった場合には特に注意が必要です。

    扶養家族が減ったとき

    例えば、従業員の扶養親族が亡くなった場合、この親族の死亡の日の現況により、扶養親族であると判定されるのであれば、年調減税の計算に含めます。(年末調整と同様の考え方です)

    年調減税額は月次減税額に比べ1人あたり3万円減少し、月次減税額よりも減税額が減るため、徴収が発生しやすくなります。

    扶養家族が増えたとき

    例えば、結婚や出産、収入減少等によって同一生計配偶者または扶養親族が増加した場合、年調減税額は月次減税額に比べ1人あたり3万円増加します。

    月次減税額よりも減税額が増加するため、還付が発生しやすくなります。


    まとめ

    定額減税における2024年度(令和6年度)年末調整について解説しました。人事労務業務において年末調整は労力を使う業務です。まずは年調減税の内容を把握し、早めの準備をすすめましょう。

    >年調減税の詳しい手続きは、令和6年9月以降に国税庁より公表されます。国税庁特設サイトもご参照ください。


    クラウドシステムを利用すれば年末調整書類の回収から申請まで、すべてWeb上で行うことができます。提出状況の進捗も確認でき、不足書類や修正対応などもスムーズに行えます。

    >年末調整クラウド導入事例のご紹介

      給与明細・年末調整・法定調書クラウド導入。 紙とexcelでの管理をなくしたい! クラウド上で一貫完結。 【導入ソフト】奉行Edge 給与明細電子化クラウド、奉行Edge年末調整クラウド、法定調書奉行クラウド【サポート内容】環境構築・導入後支援【業種】製造業 株式会社ナイスシステム


    当社では、メーカー認定のインストラクターが、30社以上の業務ソフトを取扱い、導入をサポート致します。マルチベンダーとして中四国(四国四県・広島・岡山)を中心に活動させていただき、それ以外のエリアではオンラインでもご対応致します。

    ご興味のある方はぜひ、無料でダウンロードできる資料をご覧ください。
    サービス紹介資料のダウンロード【無料】はこちら


    務ソフト導入で
    お悩みなら、
    お気軽にお問い合わせください

    ご不明な点はお気軽に
    お問い合わせください。
    業務ソフトに関するお役立ち資料を
    こちらからダウンロードできます。

    人気記事ランキング

    カテゴリ一覧

    タグ一覧