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請求書電子化のメリットやデメリット、導入検討時の注意ポイントを解説

DX化の進展やテレワークの普及により経理業務のペーパーレス化・脱ハンコ化に取り組む企業が増えています。また今後は、郵便料金が値上げによってこれまで以上に紙でのやり取りを見直す企業が増えると予想されます。

請求書の電子化とは、請求書をPDFやExcelなどの電子データで取り扱うことです。本記事では、電子請求書の概要から、導入時の受領側(受け取る)・発行側(送付する)の視点からみたメリットとデメリット等を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.請求書の電子化とは?
  2. 2.請求書の電子化がすすむ背景
    1. 2.1.電子帳簿保存法改正
    2. 2.2.インボイス制度の開始
    3. 2.3.郵便料金の値上げ
  3. 3.請求書電子化によるメリット
    1. 3.1.受領側(受け取る)
    2. 3.2.発行側(送付する)
  4. 4.請求書電子化によるデメリット
    1. 4.1.受領側(受け取る)
    2. 4.2.発行側(送付する)
  5. 5.システム導入検討時の注意ポイント
    1. 5.1.社内の業務フローにあっているかどうか
    2. 5.2.自社の既存システムとの連携は問題ないか
    3. 5.3.電子帳簿保存法、インボイス制度への対応確認
  6. 6.まとめ


請求書の電子化とは?

請求書は取引先によって、紙・PDF、郵送・FAX・メールなど、様々な形式が存在します。その都度、違う形式の請求書を受け取ったり、確認・入力したりするのは経理担当者にとって大変な作業です。

請求書の電子化とは、請求書を紙ではなくPDFやExcelなどの電子データで取り扱うことです。


請求書の電子化がすすむ背景

請求書の電子化が進む背景には、電子帳簿保存法改正の制定や、インボイス制度の開始による経理業務の負担増加、郵便料金の値上げ等が挙げられます。

電子帳簿保存法改正

2022年1月1日に改正電子帳簿保存法が施行され、これにより電子的にやりとりした請求書などの取引関係書類は、電子データのまま保存することが義務付けられました。

2023年12月31日までは宥恕(猶予)期間となっていましたが、2024年1月1日以降は完全義務化となったため、すべての法人と個人事業主が電子取引のデータ保存に対応する必要があります。

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インボイス制度の開始

インボイス制度とは、2023年10月1日から開始した仕入税額控除の新たな仕組みです。課税事業者が今まで通りに仕入税額控除を受けるためには、今後適格請求書(インボイス)が必要になりました。

“インボイス”とは、仕入税額控除を受けるために取引の内容を証明する証憑書類の総称ですので、実際には請求書だけでなく領収書やレシート、納品書、仕入明細書など、取引の証明になるものは全て含まれます。

これにともない、買手側の企業は仕入税額控除のためにインボイス(適格請求書)を保存しなければなりません。一方、売手側の企業はインボイス発行事業者として登録を受け、課税事業者として消費税を申告する必要があります。


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郵便料金の値上げ

2024年10月、封筒(郵便封書)の郵便料金は引き上げられる見通しです。

主な値上げ内容として、重さ25グラム以下の定形の郵便封書は現在の84円から110円に、また、50グラム以下の定形の郵便封書も現在の94円から110円に値上げとなり、通常はがきも、現在の63円から85円に値上げとなります。


(主な郵便料金)

種別

2024年9月までの価格

2024年10月以降の価格

定形郵便物(25g以下)

84円

110円

定形郵便物(50g以下)

94円

110円

はがき

63円

85円

レターパックプラス

520円

600円

レターパックプライト

370円

430円

参照先:日本郵便「2024年10月1日(火)から郵便料金が変わります」


紙で請求書を発行している場合、コスト上昇や担当者の負担増加は避けられません。こういった背景から、「請求書電子化」に注目が集まっています。


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請求書電子化によるメリット

請求書を電子化するメリットを「受領側」「発行側」それぞれの観点から見ていきます。

受領側(受け取る)

請求書を電子データとして受け取る側のメリットは、下記のとおりです。

  • 請求書の保存スペースが不要になる
    電子的に受け取った請求書は、電子データのままの保存が義務です。印刷してファイリングする必要はないため、管理の手間を軽減できます。
  • 社内での情報共有が容易になる
    請求書を電子データで受け取ることにより、請求書のデータをシステム上で一元管理するので、閲覧や検索がスムーズになります。 複数人で同時に請求書のデータを閲覧することができ、情報共有しやすくなるといったメリットがあります。
  • 発行当日に受領できる
    電子請求書は、メール添付やWEBからのダウンロード形式で速やかに授受できます。郵送のようにタイムラグがなく、発行されてから即座に受け取れるのが特長です。もし、請求書の内容に訂正があった場合でも、紙に比べて電子請求書なら対応が早く行える可能性があります。

発行側(送付する)

請求書を発行する際、紙ではなく電子データとして作成することで、下記のメリットを得られます。

  • コストの削減
    電子化することで、請求書の作成・発行・送付がすべてペーパーレスで行われます。印刷代や郵送にかかる費用を削減できます。請求書1件あたりの発行にかかるコストはそれほど大きなものではありませんが、年間を通して見れば大きなコスト削減効果を見込めるでしょう。
  • 業務効率化
    電子請求書を導入することで請求書発行作業にかかる時間・手間が削減でき、ほかの業務に時間を使うことが可能になります。 紙の請求書を発行する場合は印刷→封入→送付、といった工程が必要でした。また、請求書を電子データで保管していれば請求日や請求内容からデータを検索することも容易になるでしょう。
  • 在宅勤務・テレワークの促進
    電子化した請求書は、発行する担当者がテレワークをしていたとしても、メール添付や請求書発行システムから取引先へ交付できます。


請求書電子化によるデメリット

請求書を電子化するデメリットを「受領側」「発行側」それぞれの観点から見ていきます。

受領側(受け取る)

請求書を電子データとして受け取る側のデメリットは、下記のとおりです。

  • 紙の請求書への対応が残る
    企業によっては電子請求書に加えて紙の請求書を希望するケースがあるため注意が必要です。トラブルを防ぐためにも、紙の請求書の郵送が必要かどうかを取引先に事前確認を行いましょう。

発行側(送付する)

請求書を電子で発行する際のデメリットは下記です。

  • 業務フローの見直しが必要
    請求書を紙から電子データに切り替えることで、業務フローの変更を迫られる場合があります。特に、これまで手書きの請求書を発行していた事業者が請求書電子化ツールなど新たなシステムの導入を検討している場合、請求にかかる業務フロー全体の大きな見直しが必要となるかもしれません。
  • システム利用の場合は導入費用が必要になる
    請求書の電子化にあたり、請求書発行システムを導入する場合は、一定のコストがかかる点もデメリットといえます。コストがかかるものの、請求書の控えを電子帳簿保存法に則った方法で容易に保存できたり、タイムスタンプ(※)を付与できたりするシステムもあります。初期費用や月額費用はシステムによって異なるため、十分な検討が必要です。

※タイムスタンプとは、ある時点でそのデータが存在していたこと、その後改ざんされていないことを証明するもの。


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システム導入検討時の注意ポイント

請求書の電子化を進めるにあたって、押さえておきたいポイントを紹介します。

社内の業務フローにあっているかどうか

現在、手書きやExcelで請求書を作成している場合、システムに置き換えるとどのような運用になるのか?といった検証が非常に大切になります。検証例として、次のようなものが挙げられます。

  • 請求書のフォーマットが変わってしまわないか。変わる場合、問題はないか。
  • 閲覧権限を細かく設定できるか。できない場合、運用に工夫が必要になるが問題はないか。

運用によっては、既存の業務フローのままではシステムでの対応が難しいため、システムに合わせて運用しやすい業務フローを整備していく必要があります。


自社の既存システムとの連携は問題ないか

すでに自社で利用している会計システム販売管理システムなどと連携できるかどうかを確認しておきましょう。せっかく導入したシステムが、連携できなければ十分な効率性を得られなくなるので、この点はよく注意しておきましょう。


(請求書電子化による、システム連携イメージ)

請求書電子化フロー


電子帳簿保存法、インボイス制度への対応確認

電子帳簿保存法やインボイス制度など、請求書に関する法律は随時見直しが行われています。

今後も法改正があると考えられるため、システム側で自動対応してくれるものを選ぶ必要があるでしょう。

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まとめ

電子請求書の概要から、受領側(受け取る)・発行側(送付する)の視点からみたメリットとデメリット、導入検討時の注意ポイントを解説しました。

請求書の電子化をすすめることで、請求書受領から支払いまでの業務効率が向上し、時間やコスト削減につながるでしょう。経理担当者の皆さんにとって、業務負担軽減の参考になれば幸いです。


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