2024年10月からの郵便料金値上げ ~請求書業務のコスト対策~
2024年の郵便料金値上げは、企業や個人に様々な影響を及ぼすことが予想されます。特に、郵送業務の多い企業は、これによるコスト増加に直面する可能性があります。
本記事では、郵便料金の値上げによる企業への影響や郵送コストを抑える方法、請求書を電子化するメリットなどを解説します。請求書業務の効率化やコスト削減を検討している場合は、ぜひご参考ください。
目次[非表示]
- 1.郵便料金値上げの背景と内容
- 2.企業への影響
- 3.郵送コストを抑える方法
- 3.1.PDF等で発行しメール送信する
- 3.2.電子請求発行システムの導入
- 4.電子請求書へ移行する企業が対応すること
- 4.1.運用ルールをきめる
- 4.2.社内システムとの連携
- 4.3. 電子帳簿保存法への対応
- 4.4.社内研修
- 4.5.取引先との合意
- 5.請求書電子化のメリット・デメリット
- 6.まとめ
郵便料金値上げの背景と内容
2023年12月、総務省が封書やはがきを値上げする方針を公表し、2024年10月にそれぞれ引き上げられる見通しです。
2024年の郵便料金値上げは、近年のデジタル化に伴う郵便物数の減少などにより、赤字が続く郵便事業を立て直すための施策です。総務省によると、現在の料金では郵便事業の存続が困難な状況であることから、事業存続のための措置であるとしています。
主な値上げ内容として、重さ25グラム以下の定形の郵便封書は現在の84円から110円に、また、50グラム以下の定形の郵便封書も現在の94円から110円に値上げとなり、通常はがきも、現在の63円から85円に値上げとなります。
(主な郵便料金)
種別 |
2024年9月までの価格 |
2024年10月以降の価格 |
値上げ額 |
定形郵便物(25g以下) |
84円 |
110円 |
26円 |
定形郵便物(50g以下) |
94円 |
110円 |
12円 |
はがき |
63円 |
85円 |
22円 |
レターパックプラス |
520円 |
600円 |
80円 |
レターパックプライト |
370円 |
430円 |
60円 |
参照先:日本郵便「2024年10月1日(火)から郵便料金が変わります」
企業への影響
企業によっては、封書をはじめとする郵便物を大量に発送するケースも多く、郵便料金の値上げによってコストが増大するおそれがあります。
上記表のとおり、定形郵便物(25グラム以下)で26円の値上げとなり、仮に毎月の郵送件数が100枚の場合、年間で31,200円のコスト増になります。
今後の郵送コスト増加への対策として「これまで郵送していた請求書、納品書等の証憑類を電子発行すること」の検討が大切です。
郵送コストを抑える方法
PDF等で発行しメール送信する
Excelなどを用いて作成した電子データを、メールに添付し先方へ送信する方法です。サービスの利用料金はかからないことが利点ですが、誤送信の懸念や電子帳簿保存法への対応が必要になるでしょう。
電子請求発行システムの導入
こちらは、請求書発行専用のシステムを用いて電子発行する方法です。システムの利用料金は発生しますが、インボイス制度や電子帳簿保存法など法令を遵守しながら効率的に請求書等の発行が行える点が利点です。
請求書業務の電子化には取引先の合意や運用ルールの整備、社内への説明等が必要です。以降の項目で解説します。
電子請求書へ移行する企業が対応すること
電子請求書へ移行する企業の対応として、
運用ルールを決める
社内システムとの連携確認
- 電子帳簿保存法への対応
- 社内研修をする
- 取引先の合意を得る
の準備が必要になると思われます。それぞれみていきます。
運用ルールをきめる
請求書を企業間でやり取りするときは、受取側と発行側で作業が異なりますので、電子請求書導入の際は、新たな運用ルールを定める必要があります。運用ルールには電子請求書の発行方法、送受信方法、保存方法、承認フローなどが含まれます。
まず受取側は、請求書の確認・仕訳・書類保管の処理があります。請求書受取後に社内承認に回し、請求書の内容を会計ソフトに取り組むといった作業が必要です。
一方で、発行側も請求書の作成・承認・印刷・郵送といった一連の作業を、請求書を発行する度に行わなければなりません。
他にも、入金確認や未回収金を催促する業務もあるでしょう。
(請求書業務全体像のイメージ)
そのため、企業は業務の効率化を図るためにも、電子請求書の承認・発行の社内フローの見える化を行うことが大切だといえます。社内フローの見える化が実現できれば、誰がどの請求書を確認し、作成や承認をしたのかが一目で分かるようになります。
社内システムとの連携
電子請求システムの導入の際、社内のシステムと柔軟に連携できるかどうかも大事なポイントです。
電子請求書を発行・送受信するには、社内の会計システムや販売管理システムと連携できる必要があります。システム連携には、API連携やファイル連携などさまざまな方法があります。社内のシステム環境に合った連携方法を選択する必要があります。
他にも「請求書発行までの承認ワークフロー機能があるか」なども併せて検討すると業務改善につながるでしょう。請求書が電子化されることで、承認を得るまでの時間が大幅に短縮され、部署間での情報共有が容易になるというメリットがあります。
電子帳簿保存法への対応
2024年1月から完全義務化になった電子帳簿保存法ですが、電子取引における帳簿書類の保存方法について定められています。
電子請求書を導入する場合は、電子帳簿保存法に対応できるシステムやサービスを選択する必要があります。
社内研修
電子請求書導入に伴い、社内の従業員に対して研修を実施する必要があります。研修では、電子請求書の運用ルール、注意事項などを説明します。
取引先との合意
電子請求書を導入するには、事前に取引先との合意が必要です。取引先の中には、電子請求書ではなく「郵送で送ってほしい」「FAXで送ってほしい」という企業もあるでしょう。
取引先の合意が得られなかった場合は、該当の企業のみ紙で発行するといった柔軟な対応が求められます。取引先の傾向をよく見て、導入を検討することが大切です。
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請求書電子化のメリット・デメリット
メリット
電子請求発行システムの導入により、コストの削減と業務効率を向上させることができます。
- 発行側:郵送料金だけでなく、印刷・封入・発送といった事務処理にかかるコストを削減できる。
発行側:請求書の発行・送信処理を自動化することで、業務効率を向上させることができる。
- 受取側:郵送のようにタイムラグがなく、発行されてから即座に受け取れる。
- 受取側:ファイリングの手間が軽減される。
従来の紙の請求書では、発行から相手に届くまでに時間がかかり、紛失のリスクもありました。しかし、電子請求書であれば、発行と同時に相手に届き、紛失のリスクもありません。また、データ形式で保存するため、検索も容易になります。
デメリット
請求書を電子化するデメリットには、次のようなものがあります。
- 発行側:システムの導入費用、利用料金がかかる
- 発行・受取:業務フローの再構築が必要
発行・受取:効率化できるかは取引先の状況に影響を受ける
サービスの利用料金は提供会社や利用形態(クラウド型かオンプレミス型か)などによっても異なりますし、初期費用がかかる場合もあります。ひと月に送付する請求書等の書類が数十通程度ならば、メール送付のほうがコストを抑えられる可能性もあるでしょう。
計画的に移行を進めることで、電子請求書導入に伴う課題を克服し、スムーズな移行を実現することができます。
>事例紹介:請求書業務を効率化!
まとめ
郵送料金値上げ対策として、電子請求書の導入は非常に有効です。コスト削減、効率化、セキュリティ強化、法改正への対応など、さまざまなメリットがあります。まだ電子請求発行システムを導入していない企業は、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。
電子請求発行システムを導入される場合は、取引先との調整に手間がかかることなども考慮し計画をたてていけるといいですね。
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