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配偶者控除・配偶者特別控除とは?年収との関係も解説

「配偶者控除」と「配偶者特別控除」は、納税者に特定の条件を満たす配偶者がいる場合に、納税者の所得から一定金額が差し引かれる制度です。

配偶者控除と配偶者特別控除の違いは所得の上限額ですが、双方には金額の重なりが無いため、両方の控除が同時に適用されるケースはありません。

この記事では、両制度の概要とその違い、よく聞かれる年収の壁「103万・150万・201万の壁」などをわかりやすく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.配偶者控除・配偶者特別控除の違いとは
    1. 1.1.配偶者控除とは
    2. 1.2.配偶者特別控除とは
    3. 1.3.配偶者控除と配偶者特別控除の控除額早見表
  2. 2.年収の壁とは?
    1. 2.1.年収103万円の壁
    2. 2.2.年収150万円の壁
    3. 2.3.年収201万円の壁
    4. 2.4.年収130万円の壁は、社会保険の扶養に関するもの
  3. 3.配偶者控除・配偶者特別控除に関する注意点
    1. 3.1.配偶者控除と扶養控除との違い ー対象者と控除額ー
    2. 3.2.配偶者控除と扶養控除との違い ー所得金額の条件ー
    3. 3.3.配偶者が産休もしくは育休中でも適用可能
  4. 4.まとめ

配偶者控除・配偶者特別控除の違いとは

配偶者控除・配偶者特別控除は、どちらも「年収が一定額以下の配偶者がいる場合に扶養する側の所得税が減額される制度」のことをいいます。対象の違いは、それぞれ以下のとおりです。

  • 配偶者控除の対象
    配偶者の年間所得が48万円以下の人。
  • 配偶者特別控除の対象
    配偶者の年間所得が48万円超133万円以下の人。

なお、納税者本人の所得については、配偶者控除と配偶者特別控除のどちらも1,000万円以下という共通の適用条件が設けられています。


(配偶者控除・配偶者特別控除の所得金額と特徴を比較)

区分

配偶者控除

配偶者特別控除

配偶者の年間合計所得金額 

48万円以下

48万円超133万円以下

特徴

配偶者の所得が低い場合に適用

配偶者の所得がやや高い場合に適用

詳しく見ていきます。


配偶者控除とは

配偶者控除とは、所得税法における税制上の優遇措置のひとつで、一定以下の所得金額の配偶者をもつ納税者が受けられる所得控除のことです。 配偶者控除の対象となる配偶者は、その年の12月31日時点で以下要件を全て満たす人に限られます。

  1. 民法の規定による配偶者であること。(内縁関係の人は該当しない)
  2. 納税者と生計を一にしていること。
  3. 年間の合計所得金額(給与所得以外の所得もすべて含めた所得額)が48万円以下であること。給与収入のみでは103万円以下(給与収入103万円-給与所得控除55万円=48万円)。
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者ではないこと。

配偶者控除を受けるには、控除対象となる配偶者の合計所得金額が48万円以下(給与所得のみの場合は年収103万円以下)でなければなりません。これがいわゆる「103万円の壁」です。

103万円を超えても、後述する「配偶者特別控除」を適用できれば控除額がゼロになることはありません。

参考:国税庁「No.1191 配偶者控除 」 


配偶者特別控除とは

配偶者特別控除とは、48万円以上の所得を稼いで配偶者控除の対象にできない配偶者であるケースでも適用できる所得控除のことです。

配偶者特別控除の対象となるには、その年の12月31日時点で、配偶者が以下の条件をすべて満たしている必要があります。


  1. 民法上の規定で配偶者と認められていること(内縁関係の方は該当しません)
  2. 扶養者と生計を一にしていること。
  3. 年間に受け取った合計所得が48万円超から133万円以下であること。給与収入のみでは103万円超201.6万円以下であること。

  4. 青色申告者の事業専従者として、給与の支払いを受けていないこと。または白色申告の事業専従者ではないこと。

  5. 配偶者が配偶者特別控除を適用していないこと。
  6. 配偶者が別の親族の扶養親族として源泉徴収されていないこと。

参考:国税庁「No.1195 配偶者特別控除」  


配偶者特別控除を受ける上でのポイントは、配偶者同士でお互いに控除を適用できない点です。仮に夫妻両方が配偶者特別控除の所得要件を満たしていたとしても、申請できるのはどちらか片方のみとなります。


配偶者控除と配偶者特別控除の控除額早見表

配偶者控除と配偶者特別控除で控除できる金額の早見表は以下の通りです。

(配偶者控除額または配偶者特別控除額の表 )

出典:国税庁「No.2672 年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるとき」


表では配偶者が給与などの収入を得ている想定で、合計所得金額ではなく受け取った収入をベースに控除額を示しています。


年収の壁とは?

配偶者の収入が一定額を超えると、納税者の所得控除額が減額したり、社会保険料の負担が増えたりします。このような各控除が適用されるボーダーラインを「年収の壁」と表現することがあります。以下3つの「年収の壁」をみていきます。

  1. 年収103万円の壁
  2. 年収150万円の壁
  3. 年収201万円の壁
  4. 年収130万円の壁

年収103万円の壁

年収103万円の壁とは、配偶者控除が適用されなくなるボーダーラインのことです。

その年の給与収入が103万円以下であれば、給与所得控除を差し引いたが額が48万円以下となり、配偶者控除を受けられる範囲内となります。103万円を超えると、配偶者控除で相殺できなくなり、超えた金額に所得税が課税されます。

年収150万円の壁

年収150万円の壁とは、配偶者特別控除において満額の38万円の控除が受けられる、年収の上限額のことです。

現行法では納税者の合計所得金額が900万円以下配偶者が年収150万円以下(合計所得金額なら48~95万円以下)であれば、納税者が満額38万円の控除を受けられる仕組みとなっています。

納税者の合計所得金額が900万円を超えると控除額は段階的(900万円超~950万円以下なら26万円、950万円超~1,000万円以下なら13万円)に少なくなります。配偶者の年収が150万円以上になった場合も控除額は段階的に変化(3万円~36万円)します。

年収201万円の壁

年収201万円の壁については、配偶者特別控除が適用されるかどうかのボーダーラインとなります。

配偶者控除と同様、配偶者特別控除でも配偶者の合計所得金額に上限(133万円以下)があります。この上限額を年収に置き換えると、給与収入のみの場合「201万円」となります。

年収130万円の壁は、社会保険の扶養に関するもの

130万円の壁とは、親や配偶者の社会保険(健康保険等)の扶養から外れ、すべての人が自分で社会保険料を支払う必要が生じる年収のボーダーラインのことです。

配偶者控除や配偶者特別控除の壁と混同されることが多いですが、社会保険の扶養に関する壁であるため配偶者控除等とは関係ありません。


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配偶者控除・配偶者特別控除に関する注意点

配偶者控除と扶養控除との違い ー対象者と控除額ー

配偶者控除と混同されがちな制度として扶養控除があります。配偶者控除・配偶者特別控除はどちらも扶養親族を対象とした所得控除ですが、制度としては別ものです。

扶養控除とは、配偶者以外に扶養している親族がおり規定の条件を満たす場合に、課税所得から以下の金額を控除できる制度です。

扶養控除の控除額は、扶養親族の年齢や同居の有無などによって、以下の通りになります。

出典:国税庁「No.1180 扶養控除」

  • 一般の控除対象扶養親族(16歳以上):38万円
  • 特定扶養親族(19歳以上23歳未満):63万円
  • 老人扶養親族(70歳以上)同居老親:58万円、同居老親以外:48万円

配偶者控除と扶養控除の主な違いは対象者にあります。配偶者は配偶者控除、扶養親族は扶養控除の対象です。納税者に配偶者と扶養親族がいる場合は、どちらの控除も受けられます。

配偶者控除と扶養控除との違い ー所得金額の条件ー

配偶者控除では納税者本人の合計所得金額が年間1,000万円以下でなければいけませんが、扶養控除は納税者本人の所得金額がいくらであっても適用されます。

ただし、扶養親族本人の所得については配偶者より制限が厳しく、要件である48万円(給与収入のみでは103万円)より1円でも多ければ控除対象外です。

配偶者が産休もしくは育休中でも適用可能

配偶者が産休や育休で就業していない場合でも、要件を満たしていれば配偶者特別控除または配偶者控除を受けられます。これは申告時に配偶者が就業しているかは問われないためです。

1年の途中で産休や育休に入ったとしても、配偶者の年収が控除要件の範囲内におさまっていれば問題ありません。

なお、「出産手当金」「出産育児一時金」「育児休業給付」はもともと非課税であるため、所得には含めません。


まとめ

配偶者控除と配偶者特別控除の概要とその違い、よく聞かれる年収の壁「103万・150万・201万の壁」について紹介しました。

配偶者控除と配偶者特別控除は、特定条件を満たす配偶者がいる場合に所得控除を受けられる制度ですが、それぞれ適用される条件が異なります。また、適用された後の控除額にも違いがあります。

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