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労務管理とは?労務管理システムの機能や導入のメリットを解説

労務管理は、従業員の給与計算や福利厚生、就業規則、労働安全衛生の管理、入社・退社手続きなどの労使関係の管理など、従業員にとって働きやすい組織環境を整備する業務です。

これらの幅広い様々な業務は、コンプライアンス遵守の動きや働き方改革関連法などの制度改正により、重要性は増す一方です。しかし、労務管理はまだまだアナログな作業が残る業務でもあります。この記事では労務管理とは何か、労務管理システムの基本的な機能や製品を選ぶポイントを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.労務管理とは
    1. 1.1.労務管理
    2. 1.2.労務管理と人事管理の違い
  2. 2.労務管理の主な業務
    1. 2.1.法定三帳簿の作成
    2. 2.2.労働契約の締結・管理
    3. 2.3.就業規則の作成・管理
    4. 2.4.社会保険手続
    5. 2.5.勤怠管理
    6. 2.6.給与計算
    7. 2.7.福利厚生
    8. 2.8.安全衛生管理
    9. 2.9.職場環境・業務改善
  3. 3.労務管理の課題
    1. 3.1.コンプライアンス(法令順守)
    2. 3.2.多様な働き方への適応
    3. 3.3.生産性を意識した業務改善 ​​​​
  4. 4.労務管理システム導入のメリット
    1. 4.1.労務管理システムで必要とされる機能
    2. 4.2.労務管理の効率化
    3. 4.3.正確な勤怠管理の実現
    4. 4.4.情報の一元管理が可能に
  5. 5.労務管理システムの選ぶときのポイント
    1. 5.1.自社業務に対応しているかどうかで選ぶ
    2. 5.2.導入コストが自社の予算に合っているか
    3. 5.3.既存の社内システムとの連携・移行ができるか確認する
    4. 5.4.システム導入後のサポート
  6. 6.まとめ


労務管理とは

労務管理

「労務管理」は、一般に、従業員の労働に関連する事項を管理する業務を指します。具体的には、以下が挙げられます。

  • 雇用契約書の作成
  • 就業規則の作成・改定
  • 労使協定の作成
  • 勤怠管理
  • 給与計算
  • 福利厚生
  • 社会保険の手続
  • 安全衛生管理

業務内容から、労務管理と混同されがちなものに人事管理があります。2つとも似ているようですが業務内容としては異なるものです。違いをみていきましょう。

労務管理と人事管理の違い

労務管理と人事管理の違いについては、各企業が採用している人事労務管理制度によってさまざまですが、一般的には、次のような違いがあるとされています。

  • 人事管理:人事評価や人材育成、採用など、個々の人材に着目し、その処遇を管理すること
  • 労務管理:従業員の労働に関連する事項など、組織の制度を管理すること

人事管理と労務管理は、どちらも企業にとって欠かせない「ヒト」に関わる業務です。

人事管理と労務管理の業務は、全く関係が無いわけではありませんが、人事管理が組織で働く従業員一人ひとりに対しておこなうものであるのに対して、労務管理は会社や組織全体の働きやすさを見ながらおこなっていくものです。これらを踏まえ、労務管理の主な業務について見ていきます。


労務管理の主な業務

一般に、「労務管理」として求められる業務と、当該業務に関連する主な法令は以下のとおりです。

業務内容

主な関連法

法定三帳簿

労働基準法

労働契約の締結・管理

民法、労働基準法、労働契約法

就業規則の作成・管理

労働基準法、労働契約法

社会保険手続

(社会保険、労災保険、雇用保険等)     

労働者災害補償保険法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法

勤怠管理

労働基準法

給与計算

労働基準法、最低賃金法

福利厚生

労働基準法、労働契約法

安全衛生管理

労働安全衛生法

職場環境・業務改善

労働基準法、労働安全衛生法

詳しくみていきます。

法定三帳簿の作成

法定三帳簿とは、労働基準法により、企業に作成及び保存が義務付けられている帳簿のことです。具体的には、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿の3つが該当します。

  • 労働者名簿
  • 賃金台帳
  • 出勤簿

作成だけでなく、紛失しないように厳重に保管するのも労務管理の仕事です。いずれも記載項目と保存期間が法令で決められているため注意しましょう。

労働契約の締結・管理

「労働条件通知書」の作成を行います。労働条件通知書は、企業と従業員が労働条件をもとに契約を結んだ証明となる書類です。以下の項目をいれる必要があります。

  1. 労働契約の期間
  2. 就業する場所
  3. 従事する業務内容
  4. 始業・終業時間
  5. 交代制のルール
  6. 所定労働時間を超える労働の有無
  7. 休憩時間・休日・休暇
  8. 賃金の決定・計算・支払方法・締切日・支払日
  9. 昇給に関する事項
  10. 退職に関する規定

従業員との契約締結と、その後の管理も行います。

就業規則の作成・管理

常時10人以上の従業員を雇用している使用者は、労働時間や賃金、退職に関する事項等を定めた就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届け出ることが労働基準法第89条で義務付けられています。

作成するだけでなく、就業規則の内容に関する法改正が行われた際は、就業規則で定めた規定が法律違反にならないか、確認する必要があります。確認したうえで、内容変更した場合にも労働基準監督署へ届出を行う必要があります。

社会保険手続

新入社員の「社会保険」や「雇用保険」の加入手続きも労務管理の業務です。

従業員を採用したときは健康保険・厚生年金保険や雇用保険の資格取得、従業員が異動・退職したときには資格喪失、育児休業を開始したときには育児休業給付金など各種給付金の申請と様々なタイミングで手続が必要となります。

勤怠管理

従業員の勤務状況、始業時刻、終業時刻、遅刻・早退・欠勤などを記録する「勤怠管理」も行います。

長時間労働をしていないか定期的に監督し、必要に応じて業務分担を調整するなどして長時間労働の抑止に努めることも大切な業務です。


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給与計算

従業員の給与、各種手当、時間外労働に対する割増賃金、賞与、社会保険料などの計算を行います。給与計算ではまず、労働契約や就業規則に基づき、従業員ごとの給与や各種手当、賞与を算定します。従業員の増加や雇用形態の多様化により、計算が複雑になります。

計算をミスなく行うためには、労働基準法等の労働関連法令のほか、所得税法や地方税法等の租税法、企業独自のルールについて定めた就業規則などを理解する必要があり、多くの知識と経験が必要となる場合があります。

福利厚生

福利厚生とは、給与や賞与とは別に従業員とその家族に提供する報酬です。これらの整備や管理も労務管理の一環と位置付けられることがあります。なお、福利厚生は「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」に分けられます。

  • 法定福利厚生

    健康保険や雇用保険などの社会保険

  • 法定外福利厚生

    企業独自の福利厚生で、例えば社宅の提供、通勤手当、社員食堂の運営、育児支援、資格取得のサポートなど

福利厚生を充実させることで従業員の満足度や心理的安全性が高まるため、非常に重要な制度です。

安全衛生管理

労働安全衛生法によって、従業員の健康管理である「安全衛生管理」が義務付けられています。

具体的な安全衛生管理は、事業場における安全衛生を確保するための措置、雇入れ時や年1回の健康診断の実施や従業員に対する安全衛生に関する教育などがあります。

職場環境・業務改善

労働環境全般を取り扱う労務管理では、業務改善の取り組みも重要な業務です。

ハラスメントの防止や高齢者の活躍促進、障害者の雇用、女性の活躍促進など、従業員が働きやすい職場環境を構築することも労務管理の業務の一つです。


労務管理の課題

次に労務管理の課題について、昨今よく挙げられる3つについてみていきます。

  • コンプライアンス(法令順守)
  • 多様な働き方への適応

  • 生産性を意識した業務改善

コンプライアンス(法令順守)

働き方改革をはじめ、時代の変化に対応し、労働基準法をはじめとする「労働法」が改正されています。法令違反とならないよう、法改正に関する情報は定期的に確認する必要があります。


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多様な働き方への適応

働き方改革が進み、「テレワーク」や「フレックスタイム制」、「みなし残業」など人々の働き方が多様化しています。多様な働き方に対応するために就業規則の見直しや新たな福利厚生の整備に取り組むことが重要です。

生産性を意識した業務改善 ​​​​

企業の生産性を高めるためには、労務管理をはじめとする「バックオフィス」「間接部門」の業務を効率化させる必要があるとされています。

改正電子帳簿保存法やインボイス制度により、電子化が進み、以前のような紙で管理し、何度も承認作業が必要というような手間を減らすことはより重要になるでしょう。


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労務管理システム導入のメリット

労務管理システムで必要とされる機能

労務管理システムの導入は、企業が従業員の勤務時間を正確に把握するうえで非常に有効です。 務管理システムに必要な機能は、下記の様な業務を総合的にカバーするものです。

  • 入退社管理
  • 勤怠管理・給与計算
  • 各種契約書の作成

これら3つの業務に関連する従業員データがバラバラに管理されていると、転記ミスや書類不備などが発生しやすいでしょう。従業員情報の一元化管理により、より効率的な労務管理が実現できます。

労務管理の効率化

労務管理システムを導入すれば、各種手続きなどの自動化が進み、共有などの工程において業務効率化が期待できます。

システムを活用することで作業分担がしやすく、業務プロセスの属人化を防ぎ、業務軽減が実現できます。

正確な勤怠管理の実現

多様な手段で出退勤の打刻が行えることに加え、設定された時間を超える残業が発生した際にアラートを通知する機能もあり、長時間労働の早期把握と対策が容易です。このような機能により、各社員の労働時間や休暇取得の状況も一目で管理できます。

さらに勤怠管理・給与計算システムが連携することができれば、自動で集計してくれるため、データの正確性も上がるでしょう。

情報の一元管理が可能に

システムを導入することによって、社内の情報を一か所に集めることができます。一元管理には前述のようなメリットがある一方で、スムーズな一元管理を実現するための社内ルール作りも求められます。たとえば、

  • これまでの情報保管の場所を変える必要性
  • 情報共有のやり方を変えたりする必要性

等が生じるため、業務プロセスに大きな変更が発生する可能性もあるでしょう。 

労務管理システムの選ぶときのポイント

自社業務に対応しているかどうかで選ぶ

労務管理システムを選ぶにあたって、自社の業務や帳票に対応できるシステムかどうかの確認がとても重要です。

具体的には、

  • 労働保険や健康保険の申請・届出の手続き
  • 担当者が行う社会保険の管理
  • 労務に関する帳票の作成

などの業務にシステムが対応するか検討が必要です。

また現状必要としている情報だけではなく、今後必要となりそうな情報についても、データ処理・集計が可能なのかどうかも確認しておくとよいでしょう。

導入コストが自社の予算に合っているか

労務管理システムには多岐にわたる機能が含まれており、従業員の基本情報や、給与明細の発行、雇用契約の締結、年末調整の計算、マイナンバーの管理など、労務管理の業務効率を大幅に改善する効果があります。

これらの機能を活用するためには、システムの導入費用だけでなく、ランニングコストも確認しましょう。

既存の社内システムとの連携・移行ができるか確認する

会社全体の他のシステムと連携可能かを事前に確認しましょう。たとえば給与計算システムや勤怠管理ステムとの連携などが挙げられます。連携可能なシステムを選ぶことで、運用がスムーズになります。

他のシステムと連携することで、資料作成の二度手間や確認作業が短縮できたり、労務管理業務の全体的なフローが一目で確認できたりするため、業務改善にも役立ちます。


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システム導入後のサポート

システム導入後のサポートは、どこまでフォローしてもらえるのかが重要です。

特に導入初期はわからないことが多く、サポートが必要な場面が多いでしょう。不明点が出た際、すぐに相談できる窓口があるかどうか、また、手厚いフォローを受けられるかどうかは大切です。

なかなか迅速に対応してもらえなければ、システムを導入しても結果的に作業効率が低下しかねません。サポート体制はシステムの提供元によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。


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まとめ

労務管理は、企業運営にとって不可欠な業務です。単に労働関連法令を遵守するだけでなく、従業員の働き方や職場環境などを改善し、従業員の心理的安全性を高めるために重要な業務と言えます。

自社に合った労務管理システムを導入することで、従業員の出退勤や休暇の管理、給与明細の発行、社会保険や税務申請などが一元的に管理できるため、労務担当者の作業負担が軽減されます。


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