「建設業界の法改正」インボイス、電帳法、残業時間の上限規制への対応は?
2022年以降、法制度の改正が進み、建設業界では環境が大きく変わり始めています。建設業が取り組む法改正対応は多くありますが、今回は、「2023年10月 インボイス制度(適格請求書制度)」、「2024年1月 電帳法(電子帳簿保存法)」、「2024年4月 残業時間の上限規制(働き方改革関連法)」の法改正のポイントを解説をしていきます。また解説と併せて、システムを使った各制度への対応策をご紹介します。
インボイス制度 実務対策ガイドブック
目次[非表示]
建設業界にとっての法改正のポイント
主要な法改正のポイントがこちらです。
- 2023年10月 インボイス制度 ⇒免税事業者との取引では仕入税額控除が受けられなくなる。
- 2024年1月 電子帳簿保存法 ⇒電子取引は電子データの保存義務。(紙保存NG)
- 2024年4月 残業時間の上限規制 ⇒時間外労働の上限に違反すると罰則対象。
「インボイス」「残業時間の上限規制」は経営に影響するので、経営者も取り組む必要があるでしょう。また、いずれの法改正も紙、電話を利用した業務では対応に限界があり、業務のデジタル化の早期取り組みが必要です。
以下、各制度の概要を解説します。
2023年10月 インボイス制度
インボイス制度では、適格請求書(インボイス)を発行できない事業者との取引では、仕入税額控除ができなくなります。自社発行の請求書がインボイス対応することはもちろん、請求書受取時の業務進め方そのものが変わる法改正です。
詳細はこちらの記事をご確認ください。
2024年1月 電子帳簿保存法
電子帳簿保存法で2022年1月に義務化されることになっていた電子取引の電子データ保存は、2年の猶予期間が設けられました。対象書類は下記のようなものがあります。(一例です)
帳簿 |
総勘定元帳、売掛金元帳、仕訳帳、売上帳、仕入帳、固定資産台帳など |
決算書類 |
貸借対照表、損益計算書など |
書類 |
請求書、注文書、納品書、契約書、領収書など |
電子帳簿保存法には、データ作成した帳簿や書類をデータのまま保存する「電子帳簿保存」、紙の書類を画像データに変換する「スキャナ保存」、電子データでやり取りした取引情報をデータで保存する「電子取引」の3つの保存区分があります。
この保存区分のポイントは二つです。
- 紙で受け取った書類は、今まで通りそのまま紙で保管することが認められている。
- 「電子取引」の電子データ保存は2023年12月31日までに要件を満たすための対応が必要。
詳細はこちらの記事をご確認ください。
2024年4月 残業時間の上限規制
時間外労働の上限規制は、2018年に公布された働き方改革関連法に伴い、労働基準法が改正され設けられたもので、これまで「36協定はあるものの上限は青天井だった時間外労働に罰則付きで上限を設ける」という内容です。
長時間労働が慢性化している建設業においても、2024年4月からは時間外労働の上限規制が適用されるようなります。法律上、時間外労働の上限は原則として⽉45時間・年360時間と なり、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできなくなります。
しかし、建設業は現場仕事が中心で、勤務場所も分散しやすいため、多くの企業で日報やタイムカードで勤怠管理が行われています。このような勤怠管理方法は、日報の報告忘れやタイムカードの打ち忘れが発生しやすく、正確な労働時間の把握が難しいという現状があります。
規制内容の詳細はこちらの記事をご確認ください。
ここまで、3つの法改正ポイントをお伝えしました。次からは実務における対応策について解説します。
建設業界の法改正への対応は?
実は事務作業が多い建設業、煩雑な事務作業の多さが、生産性を下げている原因でもあります。受注、施工、竣工に至るまで様々な書類を扱い、この工数管理にかなりの時間が取られるからです。
イメージ図)
建設業ではひとつの工事が完了するまでに、何十社も協力会社が入ることがあります。上図の”得意先”・”仕入先”において、現場に携わる企業が増えるごとに、膨大な量の発注書、見積書、請求書作成が必要です。紙と電子が混在している場合、管理の工数が増えるでしょう。手間を掛けずにスムーズに一元管理することがポイントです。
建設業の事務作業は煩雑な面がありますが、原価管理システムを利用することで事務作業の一元管理が可能になり、負担を軽減できるメリットがあります。次から原価管理システムでの一元管理について解説します。
インボイス制度 ~原価・利益把握の必要性~
現在の建設業界において、人材不足や原料価格の高騰は大きな課題であり、原価と利益の把握の必要性はますます高まってきています。
インボイス制度は、請求書受取時の業務進め方そのものが変わる法改正ですが、原価管理システムを利用すれば、工事の前提となる受注活動を行う営業部門では見積作成や受注登録などで利用でき、一元管理されているデータを使って請求書の作成が可能となります。
原価管理システムには、工事台帳の作成など、建設業のニーズに沿った項目や機能をまとめて用意した、建設業向けシステムと呼べる製品があります。
ここで、建設業に特化した原価管理システム「どっと原価NEO」というソフトを例にしてみます。
「どっと原価NEO」(機能一例)
営業向け |
工事担当者向け |
経理担当者向け |
経営者向け |
・見積作成 ・受注登録 |
・予算管理 ・発注管理 ・日報入力 ・仕入伝票入力 ・原価集計 |
・支払伝票入力
・支払処理 ・売上・入金伝票入力 ・売掛管理 (インボイス制度対応の請求書発行可能)
・労災保険料計算 ・会計、給与、勤怠連動
|
・原価集計 ・収支見込管理 ・データ分析 |
他にも多彩な機能があり、下記の様な使い方も可能になります。
- 管理資料の集計。
- リアルタイムな情報共有で、工事進捗や生産性向上等の直近の状況を見える化
- 最小限の入力で業務の効率化ができ、必要なデータの一元管理化
- 電子帳簿保存法に準拠した、受発注業務のシステム連携
電子帳簿保存法 ~受発注業務の工数軽減~
インボイス制度開始以降は、協力業者から届く請求書が適格請求書の形式で作られているか?事業者登録番号に誤りがないか?など、従来より確認する事項が増えるため、事務作業の煩雑化が想定されます。
この確認作業の工数を抑制するには、取引先との見積もり・発注・納品・検収・出来高・請求のやり取りをデジタル化することが受発注業務の軽減、コスト削減につながるでしょう。
残業時間の上限規制 ~客観的な労働時間の管理~
現場の勤怠を正しく記録し、時間外労働の上限規制に対応するためには、もはや手作業での勤怠管理業務では限界です。建設業にとっては、いかに早く勤怠管理を日報やタイムカード、Excelからシステム化するかが課題と言えます。
現場ごとの勤怠(出面)が、スマートフォンやタブレットなどで打刻できれば、「日ごとに現場が変わる」「直行直帰が多い」といった建設業特有の勤務形態にも有効です。リアルタイムの確認ができるだけでなく、時間外労働の上限規制に対応した残業時間の集計なども簡単に行えるでしょう。勤務時間管理をシステム化することは、労務担当者や現場作業を担う従業員にとっても利便性が高まります。
ここまで、3つの法改正のポイントと対応策を解説しました。その中でも事務作業の煩雑さを回避するには、これらの法改正へ個別に対応するだけでなく、各システムを連携することによって事務作業の負担が軽減される可能性があります。次からご紹介します。
原価管理システムと勤怠管理システムの連携
現場ごとの勤怠(出面)と原価管理システムで一元化した情報、データの二重入力を軽減するため、「どっと原価NEO」は、会計ソフトや、給与ソフト、勤怠管理ソフトへの連動を行う事ができます。
ここでは勤怠管理システムへの連携をイメージ図を交えてご紹介します。
連動可能な「クロノスPerformance」でできること
「どっと原価NEO」では、勤怠管理システムの「クロノスPerformance」とのファイル連携のサービスが開始されています。
建設業における『出面』・『勤怠』・『原価管理』の一元管理が可能となり、長時間労働者の把握・予測・注意を促しつつ、同時に原価管理も可能となりました。
一元管理ができれば、原価管理はもちろん発注や見積などの他の業務の効率化も見込まれ、生産性の向上にもつながります。
▶あわせて読みたい
工事別原価管理とは何か?工事別原価管理のやり方とソフトウェア選定ポイントをご紹介
まとめ
インボイス制度や残業時間の上限規制への対応をしたいけれど、何から始めればいいか困っている、どんなソフトを選べばいいか分からない等お困りの場合は、ぜひ一度当社へご相談ください。
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