電子帳簿保存法改正 ~紙で受領・発行した請求書の保存方法~
2年の猶予を経て、2024年1月から対応が必須とされる改正電子帳簿保存法。 請求書をはじめとするさまざまな書類を電子データとして保存することが、2024年1月より義務付けられました。
電子化の際には電子帳簿保存法が定める要件を満たす必要があり、要件を満たせば紙の原本は不要です。今回は、電子帳簿保存法の基礎知識や請求書の保管方法・電子化した請求書原本の破棄について解説します。
目次[非表示]
- 1.電子帳簿保存法
- 2.受け取った請求書の保存方法
- 2.1.紙で受け取ったとき
- 2.2.電子データで受け取ったとき
- 3.自社で発行した請求書 (控)の保存方法
- 3.1.紙で発行したとき
- 3.2.電子データで発行したとき
- 4.電子化した請求書の原本の保管
- 5.最後に
電子帳簿保存法
電子帳簿保存法は1998年に施行された法律で、これまでに何度も改正され、現在に至っています。インターネットの普及やIT技術の進化により、電子データでの保存を一般化させ、業務効率化を図る目的で導入された経緯があります。
電子帳簿保存法の改正は、事業主の経理業務に影響のあるインボイス制度と並行して進められています。
(今までの流れ)
- 2019年10月1日 軽減税率制度の開始(インボイス制度は軽減税率とセットで導入決定)
- 2022年1月1日 改正電子帳簿保存法施行(電子取引での電子データ保存のみ猶予期間あり)
- 2023年10月01日 インボイス制度開始(2029年まで経過措置あり)
- 2023年12月31日 改正電子帳簿保存法における電子取引の猶予期間終了
電子帳簿保存法改正が、経理業務に大きくかかわるのは大きく2つあり、「電子取引をした請求書の紙保存ができなくなる」と「電子データの保存要件が緩和される」の2つです。
他にもさまざまな改正項目があるので、電子帳簿保存法改正の詳細を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
受け取った請求書の保存方法
紙で受け取ったとき
紙の請求書を受け取った場合には、以下2つの対応方法があります。
- 紙のまま保存する
- コピー機やスマートフォンでスキャンしてから電子データとして保存する
一つ目の「紙のまま保存」は多くの企業にとって馴染みのある保存方法でしょう。
二つ目の「スキャンしてから電子データとして保存する」は電子帳簿保存法におけるスキャナ保存方式であり、以下のような手順で保存しましょう。
- 請求書の原本をスキャナーで読み込むか、スマートフォンで撮影する
- データをシステムにアップロードする
- 2ヶ月以内に画像データにタイムスタンプを付与する(訂正削除の記録が残るシステムの場合、タイムスタンプ付与は不要)
- 定められた期間内システム上で保存する
>関連記事:電子帳簿保存法のタイムスタンプが必要な場面について解説!
電子データで受け取ったとき
電子データの請求書を受け取った場合には、紙のときと同様に以下2つの対応方法があります。
- 電子データのまま保存する
- 電子データから紙に出力して保存する ※2023年12月まで。2024年1月以降は廃止。
二つ目の「電子データから紙に出力して保存する 」は電子帳簿保存法が改正されたので、この対応ができるのは2023年12月までです。
2024年1月からはPDFをはじめ、電子データでもらった請求書は紙で保存できません。そのまま電子データで保存する必要があります。
( 請求書以外の電子データ 一例 )
請求書を電子データで保存するにあたって、「真実性の確保」と「可視性の確保」の2つの要件が定められています。
詳細を確認したい場合は以下の記事をご参考ください。
>電子データで保存する要件詳細はこちら
自社で発行した請求書 (控)の保存方法
受領した請求書だけでなく、自社で発行した請求書も控えを保存しなければいけません。
紙で発行したとき
紙で発行した場合は、紙のまま保存するかスキャンして電子データとして保存します。
電子データで発行したとき
電子データで発行した場合は、受領した際と同様の方法で保存します。なお、2023年10月に始まったインボイス制度により、仕入税額控除を受けるうえで請求書控えの作成と保存義務が発生しますので、注意しましょう。
>関連記事:電子帳簿保存法に基づく請求書保存について、インボイス制度とあわせて解説
電子化した請求書の原本の保管
紙の請求書をPDFにして電子化して保管する場合、電子帳簿保存法の要件を満たせば、紙の原本はいらないと定められており、破棄できます。
なお、請求書の保存期間は、法人税法および所得税法にて以下のように定められています。この期間は紙保存、電子保存どちらも変わりません。
- 法人:7年間(平成30年4月以降の欠損金の繰越控除は10年間適用)
- 個人事業主:5年間(消費税納税者は7年)
最後に
今回は、電子帳簿保存法の基礎知識や請求書の保管方法・電子化した請求書原本の破棄について解説しました。
紙の請求書をスキャナ保存する場合に、これまで必要とされていた相互チェックや定期検査は、電子帳簿保存法の改正によって廃止され、スキャナ保存におけるタイムスタンプの付与についても、データの訂正や削除の履歴が残る(または訂正や削除ができない)システムに保存していれば不要になりました。
これらの要件緩和により、誰でもスキャナ保存を行いやすくなっていますが、改ざん防止措置は依然存在しています。税務処理上の不備があった場合のペナルティは重くなっているため、十分に注意しましょう。
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