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運送業 2024年問題 ドライバーの年収はどう変わる?必要な対策もご紹介

働き方改革により時間外労働時間の上限が設定されることで、物流・運送業界では、「2024年問題」が浮上しています。 2024年問題は、運送会社の利益の減少、トラックドライバーの給与の減少やそれに伴う離職など、今後の物流業界に大きな影響を与える問題です。

この記事では、物流・運送業界への影響と取り組みが必要な課題をわかりやすく解説します。


目次[非表示]

  1. 1.2024年問題の概要
    1. 1.1.2024年問題とは?
    2. 1.2.物流・運送業界で「2024年問題」が懸念される理由
  2. 2.予想される影響は?
    1. 2.1.ドライバーの給料が減少
    2. 2.2.輸送量の減少
    3. 2.3.モノが運べなくなる・モノが作れなくなる
  3. 3.取り組みが必要な対策
    1. 3.1.運転計画の見直し
    2. 3.2.荷主への対応依頼
    3. 3.3.適正な労働時間の管理
  4. 4.まとめ


2024年問題の概要

2024年問題とは?

これまで、36協定で定める時間外労働については、厚⽣労働⼤臣の告示(※)によって、 上限の基準が定められていました。臨時的に限度時間を超えて時間外労働を⾏わなければならない特別の事情が予想される場合には、特別条項付きの36協定を締結すれば、 限度時間を超える時間まで時間外労働を⾏わせることが可能でした。

これについて、働き方改革関連法自体は2019年4月から適用が開始され、罰則付きの上限が法律に規定され臨時的な特別な事情がある場合にも上回ることのできない上限が設けられます。

時間外労働の上限規制について「建設事業・自動車運転業(物流業)・医師」は長期的な見通しが必要となるため、5年の猶予期間を与えられましたが、この5年間の猶予が2024年3月31日に終了します。

2024年問題とは、2024年4月1日から始まる時間外労働の上限規制によって生じる、様々な問題の総称のことです。


(※)労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延⻑の限度等に関する基準(限度基準告示)


働き方改革関連法「時間外労働の上限規制」への対応


  




物流・運送業界で「2024年問題」が懸念される理由

物流業界に関しては、ドライバーの時間外労働の上限規制が960時間/年になります。目安として、1カ月平均では80時間となりますが、1カ月の上限については規定がありません。

例えば、ある月に時間外労働が100 時間に達したとしても、他の月の時間外労働を削減する等によ り、年960時間を超過しなければよいこととされています。整理したものがこちらです。


2024年3月31日まで           

2024年4月1日以降

上限規制は適用されない。

  • 特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が年960時間になる。1日で換算すると、おおよそ「3.6時間/日」の残業が上限になる。
  • 時間外労働と休⽇労働の合計について「月100時間未満」「2〜6か⽉平均80時間以内」とする規制は適用されない。
  • 時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは年6か⽉までとする規制は適用されない。


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予想される影響は?

では物流の2024年問題によってどういったことが起きるのかみていきます。運送会社へは、大きく3つの影響があるとされています。

  1. ドライバーの労働時間・給料が減少
  2. 輸送量の減少
  3. モノが運べなくなる・モノが作れなくなる

段階別に整理するとこのようになります。

運送会社
労働時間が減少し、

ドライバーの給料減少

輸送量の減少による、

売上減少

モノが運べなくなる

各項目について、詳細をみていきます。


ドライバーの給料が減少

時間外労働の上限が設定されたことで、これまで長時間労働をしていたドライバーの労働環境は改善されますが、それ以上働いていたドライバーの割増賃金は減少することになります。


(トラックドライバーの年間所得額の推移)



(トラックドライバーの年間労働時間の推移)

(出典:全日本トラック協会「トラック運送業界の2024年問題について」)


全産業平均と比較すると、トラックドライバーの年間所得額は低い傾向にあり、年間労働時間は高い傾向にあります。

また、走行距離に応じて賃金が決まっている場合においても、走行距離は短くなるため、 ドライバーの給料が減少する恐れがあります。


輸送量の減少

上記の通り、物流の2024年問題はドライバーの総稼働時間に制限をかけます。たとえば、1日11時間働いていたドライバーが、8時間しか働かなくなれば、輸送量が3割近く減少する可能性があります。

従来の輸送量を保とうとすれば、必然的にドライバー1人あたりの業務負担が増加します。ドライバーの業務負担を増やさなければ、荷主が求める輸送量を維持できず、取引を停止される可能性も浮上するでしょう。

運送会社としては、配送運賃を上げなければ売上が減ってしまうことになります。


モノが運べなくなる・モノが作れなくなる

輸送量が減少すれば売上が減ってしまいますが、コロナ禍による通販の需要拡大で、配送業務は増加傾向にあります。さらに近年、各企業がサービスレベルの向上に取り組み、翌日配送などのスピード配送、不在連絡票による再配達指定などを実施しており、このようなサービスもドライバーの負担が増加する一因となっています。

輸送リソースの減少により、輸送貨物が、完成品であれば「モノが運べなくなる」、部品や原材料であれば「モノが作れなくなる」という構図がうまれてしまいます。


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取り組みが必要な対策

労働時間の全体的な削減により生じる2024年問題に対応するには、業務の見直しや効率化についても考える必要があります。


運転計画の見直し

長時間労働の抑制には、運転時間と走行距離を短くする方法があります。しかしただ短縮するだけでは、配送量の低下による売上減少を招きかねかねません。

まずは配送ルートを見直し、より短時間で到着できるルートを探してみましょう。また遠距離への配送には、中継輸送(配送途中でほかのドライバーと交代する方式)を導入する方法もあります。複数のドライバーで長距離運行を分担するため、 ひとりのドライバーが運転する距離を軽減することができるでしょう。


荷主への対応依頼

2024年問題の影響を最小限に留めるには、 運送事業者は荷主との交渉を行う必要があるでしょう。運賃を値上げすることで、会社の利益を上げ、ドライバーの給料を上げていく必要があります。

ベースとなる運賃に、燃料サーチャージや高速道路の使用料なども加え、現状のサービスを維持するために必要なコストとして丁寧に説明し、受け入れてもらうことが必要です。


適正な労働時間の管理

運転時間と走行距離の再検討がすすめば、時間外労働の上限規制の遵守や、勤務間インターバル制度の導入も可能となるでしょう。

例えば、労務管理におけるドライバーの勤怠管理です。各ドライバーの勤怠状況を正確に把握し、時間外労働をはじめ労働時間の調整を行う必要があります。勤怠管理をデジタル化することができれば、ドライバーはスマホからその場で勤怠情報を入力でき、企業側はリアルタイムな勤怠情報を把握できます。

時間外労働の上限、年960時間以上の時間外労働をさせてしまうと罰則(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が科されるため、これまで以上に勤怠管理を徹底する必要があるでしょう。


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まとめ

2024年問題は、物流・運送業に大きな影響を与えることが予想されます。深刻な人手不足も懸念されており、その影響でドライバーの給料は上がるといった意見もありますが、時間外手当が減る分だけ給料が下がってしまう可能性も高いです。

想定しうるリスクを整理し、早い段階で対策を進めることが必要です。 2024年問題に関わる法改正が、ドライバーにとっても物流企業にとっても良いものとなるよう、対策を図りましょう。


働き方改革関連法 時間外労働の上限規制への対応


  


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