建設業 週休2日制は実現できる?上限規制の内容や対策を解説
建設業界は、休みが少ない業界と言われます。 ただ、働き方改革により2024年4月から 時間外労働時間の上限が設定されることで、 建設業界の労働環境に大きな変化が起きるのは確かです。
建設業界では週休2日制度の導入に注目が集まっています。週休2日制度を導入することにより、従業員の健康面やプライベートな時間の確保、採用課題の解決などが期待できるためです。しかし、建設業界では独自の課題があるのも事実です。
今回は、建設業で週休2日が難しい理由やその対策について解説します。また、長時間労働の問題解決の鍵となる勤怠管理についても合わせて解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.2024年4月から建設業で時間外労働の上限規制が適用
- 1.1.時間外労働の上限規制とは?
- 1.2.国土交通省の週休2日の考え方
- 2.建設業で週休2日制が難しい理由
- 2.1.工期の調整が難しく、計画通りに休日を取りづらい
- 2.2.コストが増えてしまう
- 2.3.従業員の給料が下がってしまう
- 3.取り組みが必要な対策 建設業が週休2日を導入するために必要なこと
- 3.1.工期設定の見直し
- 3.2.IT活用/DX化による生産性向上
- 3.3.適正な労働時間の管理
- 4.まとめ
2024年4月から建設業で時間外労働の上限規制が適用
時間外労働の上限規制とは?
これまで、36協定で定める時間外労働については、厚⽣労働⼤臣の告示(※)によって、 上限の基準が定められていました。臨時的に限度時間を超えて時間外労働を⾏わなければならない特別の事情が予想される場合には、特別条項付きの36協定を締結すれば、 限度時間を超える時間まで時間外労働を⾏わせることが可能でした。
(※)労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延⻑の限度等に関する基準(限度基準告示)
これについて、働き方改革関連法自体は2019年4月から適用が開始され、罰則付きの上限が法律に規定され、臨時的な特別な事情がある場合にも上回ることのできない上限が設けられます。
時間外労働の上限規制について「建設事業・自動車運転業(物流業)・医師」は長期的な見通しが必要となるため、5年の猶予期間を与えられましたが、この5年間の猶予が2024年3月31日に終了します。
2024年4月からは36協定を締結している場合、時間外労働の上限規制は月45時間、年360時間です。詳細はこちらの記事をご覧ください。
国土交通省の週休2日の考え方
国土交通省は、2024年からの建設業への時間外労働の上限規制適用を見据え、計画的に建設業での週休2日制を推進しています。
具体的には、週休2日制を実現させるための試行工事を行っているほか、2025年(令和5年)における直轄工事では発注者が週休2日交代制に取り組むと指定する「発注者指定方式」を採用したり、適正な工期設定・経費補正で、週休2日制を拡大させるための取り組みをおこなっています。
建設業で週休2日制が難しい理由
建設業が週休2日にするには課題ももちろんあります。具体的には、下記の3つです。
- 工期の調整が難しく、計画通りに休日を取りづらい
コストが増えてしまう
- 従業員の給料が下がってしまう
などです。これらを踏まえ、週休2日制度の導入に向けて対策を講じる必要があります。それぞれについて詳しく解説します。
工期の調整が難しく、計画通りに休日を取りづらい
建設業は、工期や天候、協力会社との調整などによって業務量やスケジュールが変動しやすいです。 また、災害時には緊急に復旧や復興の作業が必要になることもあります。
国土交通省の発表によれば、建設業の約65%が4週間のうちに4日の休みを取得する4週4休を採用しています。[注2]
しかし、長時間労働を避けるには国土交通省が推奨する週休2日制度が望ましいため、工期設定の見直しが必要になってきます。
コストが増えてしまう
建設業の週休2日制度の導入によって工期が長くなることから、人件費や重機のレンタル代など、コストが上昇する可能性があります。
従業員の給料が下がってしまう
建設業における週休2日制度の導入は、日給月給制の場合などは就業時間に対して直接影響があるので、従業員にとっては給料が減ることに繋がるケースがあります。対策として時間当たりの給料を増やすという手もありますが、そうなると工事費用の値上げに繋がり、受注への影響が発生します。
取り組みが必要な対策 建設業が週休2日を導入するために必要なこと
建設業が週休2日制度を導入するためには、いくつかの取り組みが必要になります。
工期設定の見直し
工期設定を見直すことは、建設業の週休2日制度の導入にあたって、重要な対策です。
建設業は、工期や天候、協力会社との調整などによって業務量やスケジュールが変動しやすいため、週休2日制を導入して休日を定めたからといって、その日に本当に休めるとは限りません。
このため、週休2日制の導入には、余裕と柔軟性を持たせた工期設定が必要です。
IT活用/DX化による生産性向上
IT技術を活用することで、業務の効率化が期待できます。例えば、データの入力、情報共有、案件の進捗管理、資料の作成など、様々な業務に対して現在はクラウドサービスが存在します。
現場での作業においては、スマートフォンやタブレット端末を活用することで、情報共有、作業指示などの業務を効率化することができるでしょう。
適正な労働時間の管理
長時間労働問題を解決する鍵は「勤怠管理」にあります。過重労働による過労死・健康被害・残業代の未払いといった問題が次々と社会問題化し、近年注目を集めています。
労務リスクに対応するためには、できる限り正確に従業員の労働時間を把握することが必要です。従業員の勤怠状況を正確に把握し、時間外労働をはじめ労働時間の調整を行う必要があります。
勤怠管理をデジタル化することができれば、スマホからその場で勤怠情報を入力でき、企業側はリアルタイムな勤怠情報を把握できます。建設業界における、勤怠管理システム利用のメリットの例はこちらです。
- 工数ごとに勤怠入力できるため、工事に費やした工数を集計できる
- 36協定に関する残業時間・労働時間を管理し、超過する場合にはアラートが表示される
- スマートフォンやタブレットで、現場から利用できる
- PCでも利用でき、出退勤の入力(打刻)時の位置情報も記録される
時間外労働の上限、年960時間以上の時間外労働をさせてしまうと罰則(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が科されるため、これまで以上に勤怠管理を徹底する必要があるでしょう。
まとめ
働き方改革関連法の施行に伴い、時間外労働の上限規制が強化され、建設業を営む各企業では、従業員の残業時間の削減といった対応を迫られています。
想定しうるリスクを整理し、早い段階で対策を進めることが必要です。 2024年問題に関わる法改正が、職人にとっても建設業界にとっても良いものとなるよう、対策を図りましょう。
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