管理会計とは?管理会計システムの機能や導入のメリット
管理会計とは、経営者が経営判断に活用するために必要な情報をまとめた、内部向けの会計のことです。経営者は、管理会計の情報をもとに自社の経営状態を分析し、意思決定を行います。
社内向けの会計状況を表す「管理会計」は、経営戦略を考える上で重要な項目です。 管理会計の導入・運用を手助けしてくれるツールが、管理会計システムです。
この記事では管理会計とは何か、管理会計システムの基本的な機能や製品を選ぶポイントを解説します。
目次[非表示]
- 1.管理会計とは
- 1.1.管理会計と財務会計の違い
- 2.管理会計の主な業務
- 3.管理会計システムのタイプ
- 3.1.経営管理に幅広く使えるタイプ
- 3.2.予実管理中心のタイプ
- 3.3.財務会計ソフトに管理会計の機能が搭載されているタイプ
- 4.管理会計システム導入のメリット
- 4.1.管理会計業務の効率化
- 4.2.的確な経営状況の把握
- 4.3.情報の一元化
- 5.管理会計システムの選ぶときのポイント
- 5.1.導入目的を明確にする
- 5.2.スムーズにシステム移行できるか
- 5.3.システム連携・移行ができるか確認する
- 5.4.システム導入後のサポート
- 6.まとめ
管理会計とは
管理会計とは、経営状況を可視化した社内向けの会計です。企業の経営層が、管理会計を元に現状の経営状況を把握し、将来の戦略や方針を決める際に欠かせません。
管理会計のデータをもとに人材や資本といった経営資源の配分を判断したり、製品や部門への成長戦略や投資を判断することが可能になります。部門やプロジェクトごとの予算や原価管理を行うことで、部門別の業績管理・評価に使われるケースもあります。
企業の会計には、管理会計のほか「財務会計」も存在します。 管理会計を理解するために、このふたつの違いをみていきます。
管理会計と財務会計の違い
財務会計と管理会計との間には、何を目的としてその会計処理が行われているのか?という違いがあります。
財務会計と管理会計の違いについて、以下の図をご参考ください。
管理会計は、企業内部の意思決定や業績管理を目的としています。そのため、管理会計からできる資料によって、法人税は計算されません。
それに対して財務会計は、株主、債権者、投資家、あるいは国といった外部の利害関係者に対して企業活動の成果を報告することを目的としています。法人税の計算根拠となる資料は、財務会計をもとに作成されます。
これらをまとめると、管理会計は「社内向けの会計情報」、財務会計は「社外に情報開示するための会計情報」となります。
これらを踏まえ、管理会計システムを使って行われる主な業務について見ていきます。
管理会計の主な業務
管理会計システムの機能は以下3つに大別できます。
原価管理
予実管理
- 分析機能
詳しくみていきます。
原価管理
利益を確保するには、製品やサービスにどのくらいのコスト(原価)がかかっているかを正しく知ることも重要です。
原価管理とは、標準原価と実際の原価の差異を算出して比較し、なぜその差が発生したのかを分析して利益改善につなげることを目的としています。原材料や部品のコストを計算するだけでなく、人件費、設備費なども算出します。
正確に原価を把握することで、製品価値や利益に見合った価格設定を行ったり、損益や経営状況を把握したりすることにも利用できます。
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予実管理
予算管理は、年度ごとや中長期的期間で、予算管理とその情報を経営に活かすことを目的としています。 全社で目標を立て、各部門に分配したり実績と対比したりして部門の成果を管理します。
一定期間ごとに予算と実績を比較することで、計画の進捗状況を確認することができ、遅れや苦戦が見られる部門には施策修正を行うなど、PDCAサイクルで管理することもできます。
分析機能
業績を分析し評価することは、管理会計でもっとも重要な業務とも言えます。
どのような経営分析が必要かは、企業規模や業種・業態などによっても変わりますが、最低限見ておきたいポイントは
-
収益性(損益)
-
安全性(資産)
になります。現状がどのくらい成長しているか(売上成長率や営業利益率)、現在の資本はどのくらいか(自己資本比率、当座比率など)は、あらゆる企業で分析しておきたい指標です。
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ここまで、管理会計システムを使って行われる主な業務について紹介しました。次に、管理会計システムのタイプについてみていきます。
管理会計システムのタイプ
管理会計システムには大きく3つのタイプに分類できます。
- 経営管理に幅広く使えるタイプ
- 予実管理中心のタイプ
- 財務会計ソフトに管理会計の機能が搭載されているタイプ
経営管理に幅広く使えるタイプ
予算実績管理、原価管理だけでなく、経営管理に関する様々な機能を備えたタイプのシステムです。会計情報の分析機能のほか、さまざまなシステムと連携でき、経営における利便性の高い機能が多数搭載されています。
在庫管理、労務管理、プロジェクト管理など、独立したシステムを使用している企業におすすめのタイプです。
予実管理中心のタイプ
細かくグループを分けて予実管理が可能なタイプです。
- 大企業で部門が多い
- 各部門が全国に分散している
- 同時進行で多数のプロジェクトを抱える企業
などの場合、プロジェクト単位や地域単位など、さまざまなデータを細かく組み合わせて把握できるものがあります。
財務会計ソフトに管理会計の機能が搭載されているタイプ
管理会計システムには、財務会計と管理会計が一体になったタイプもあります。このタイプでは、財務会計のデータをそのまま利用できるため低コストかつ導入ハードルが低いなどのメリットがあります。
また、財務会計で使用する情報をもとに管理会計の処理ができるので、会計業務の効率化につながります。
管理会計システム導入のメリット
管理会計業務の効率化
管理会計システムを導入すれば、管理会計のためのデータ入力や集計・グラフ作成にかかる時間を削減でき 、分析・共有などの工程において業務効率化が期待できます。
さらに、業務プロセスの属人化を防ぎ、引き継ぎや作業分担がしやすく、業務軽減が実現できます。システムが自動で集計してくれるため、データの正確性も上がるでしょう。
的確な経営状況の把握
管理会計システムの導入によって、「セグメントごとに評価する」「財務諸表の数値をもとに定量的に分析する」など、適切な経営判断に役立てることができます。
また、管理会計システムには入力したデータの自動集計機能が備わっているため、正確な情報をスピーディーに収集できます。日々の数値を比較し、リアルタイムで情報を確認できることで、スピード感を持った経営判断が下せるようになります。
情報の一元化
システムを導入することによって、社内の情報を一か所に集めることができます。一元管理には前述のようなメリットがある一方で、大変さも存在します。スムーズな一元管理を実現するための社内ルール作りも求められます。たとえば、
- これまでの情報保管の場所を変える必要性
- 情報共有のやり方を変えたりする必要性
等が生じるため、業務プロセスに大きな変更が発生する可能性もあるでしょう。
>クラウドシステム導入で情報の一元管理をした事例がこちら。
管理会計システムの選ぶときのポイント
導入目的を明確にする
管理会計システムを選ぶにあたって、自社にとって必要な帳票を提供できるシステムかどうか、自社で採用する会計基準に対応しているかがとても重要です。
管理会計の対象となる単位も、「部門別」「製品別」「プロジェクト別」「店舗別」「地域別」「取引先別」「事業部別」など事業形態によってそれぞれあり、どの種類のデータをどのように処理したいのかを見極めておく必要があります。
また現状必要としている情報だけではなく、今後必要となりそうな情報についても、データ処理・集計が可能なのかどうかも確認しておくとよいでしょう。
スムーズにシステム移行できるか
従来のシステムから新たな管理会計システムに移行する際には、システム移行時に部門・取引ごとの数値に不整合が生じるケースがあります。各数値に整合性がないと、経営判断に役立てられるデータ分析ができません。
そのため、管理会計システムを選ぶときは、新システムに求める機能・特性を整理し数値に整合性をもたせてシステム移行できるかという点に注意しましょう。
システム連携・移行ができるか確認する
企業全体のキャッシュフローを見て経営判断したいと考える場合は、他のシステムと連携可能かを事前に確認しましょう。たとえば販売管理システムや給与計算システムとの連携、などが挙げられます。連携可能なシステムを選ぶことで、運用がスムーズになります。
他のシステムと連携することで、資料作成の二度手間や確認作業が短縮できたり、販売業務の全体的なフローが一目で確認できたりするため、業務改善にも役立ちます。
>債権・債務関係の仕訳が会計システムへ転送できるようになった事例がこちら。
システム導入後のサポート
導入後のサポートは、どこまでフォローしてもらえるのかが重要です。特に導入初期はわからないことが多く、サポートが必要な場面が多いでしょう。不明点が出た際、すぐに相談できる窓口があるかどうか、また、手厚いフォローを受けられるかどうかは大切です。
なかなか迅速に対応してもらえなければ、システムを導入しても結果的に作業効率が低下しかねません。サポート体制はシステムの提供元によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。
>当社のソフトウェア『インストラクター』とは
まとめ
管理会計は、さまざまな角度から会社の業績を分析するのに有用な会計手法です。管理会計で出されるレポートは、現状分析のみならず、将来の方向性を考えるきっかけにもなります。
そのため、会社全体を強力にバックアップしてくれる管理会計システムは自社の形態にあったものを選ぶ必要があります。
自社に合った管理会計システムを導入することで、管理会計の情報をより迅速に得ることができ、企業経営のサポートが強化されるでしょう。
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