第7回 インボイス買手の留意事項① 仕入税額控除の要件等(帳簿のみの保存や少額取引など)
本ブログは、2023年10月スタートのインボイス制度(適格請求書等保存方式)への企業の対応について、図解を交えわかりやすく解説するシリーズ第7回目です。前回のブログではインボイス売手の留意事についてでしたが、今回は買手の留意事項について紹介します。
制度概要から対応ポイントなどをイラストで理解したい方や、財務会計・販売管理ソフトを既にお使いの方などへ、お役立ていただけるのではないかと思います。
国税庁のインボイス制度特設サイトの内容をベースに、8回にわたりみなさんに共有します。最後までお付き合いいただけると幸いです!
【インボイス対応迫る!】シリーズ一覧(予定)
インボイス制度 実務対策ガイドブック
目次[非表示]
- 1.前回の復習
- 2.仕入税額控除の要件等
- 2.1.保存が必要となる請求書等
- 2.2.帳簿のみの保存で良い場合
- 2.3.少額取引(課税仕入れの支払対価の額の合計額 3 万円未満)の取扱い
- 2.4.買手側の修正インボイスの取扱い
- 2.5.簡易課税制度を選択している場合
- 3.まとめ
前回の復習
インボイスとは、登録番号や消費税額などの一定の事項が記載された書類や電子データのこと。
さらに「売手」が「買手」に交付するもの!売手=インボイス発行事業者には、一定の義務が生じます。第7回では、買手側からみた仕入税額控除の要件について解説していきます。
(インボイスって何?と思われた方は「第1回 インボイス制度概要①」をご確認下さい。)
仕入税額控除の要件等
買手が仕入額控除の適用を受けるためには、原則としてインボイス保存が要件です。しかし、売手側が免税業者や消費者などインボイスを交付できない場合はどうなるのでしょうか。
以下、買手が仕入税額控除のための適用を受けるために保存が必要なもの2点を挙げていきます。
保存が必要となる請求書等
「仕入額控除の適用を受けるための書類を保存」することが必要です。その書類がこちら。
②はなんでも良いのではなく、「一定の事項が記載されており、相手方(売手)の確認をうけた仕入明細書」である必要があります。
帳簿のみの保存で良い場合
次に、帳簿のみの保存で仕入額控除が認められる(=インボイスの保存が不要)場合は、こちらの7つです。
このように、帳簿のみの保存でよいものは限定されますが、一定事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。
①②の3万円未満の帳簿について記載がありますが、もう少し掘り下げて解説していきます。
少額取引(課税仕入れの支払対価の額の合計額 3 万円未満)の取扱い
現行の区分記載請求書等保存方式では
・3万円未満の課税仕入れ
・請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由があるとき
この場合、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(つまり請求書の保存が不要)が、インボイス制度が導入された後は、認められなくなります。
これは今後、インボイス制度導入で1,000円の課税仕入れでも請求書等が必要となりますが、前項の帳簿のみの保存で仕入額控除が認められる場合①②は除かる、ということになります。
買手側の修正インボイスの取扱い
また、今は受け取った請求書に
・軽減税率の適用対象である旨
・税率ごとに区分して合計した税込対価の額
の記載がない場合には、この二つ様な請求書でも事実に基づき買手が追記できますが、インボイス制度が導入された後はこのような追記はできません。
買手は正確な事項が記載されたものを「もらい直す」ことが基本となり、売手はインボイス記載事項につき記載もれや誤りがある場合には修正したインボイスを交付する義務があります。
(売手には修正したインボイスを交付する義務がある、については第6回ブログで解説しています。)
簡易課税制度を選択している場合
簡易課税制度を選択している事業者の方は、「課税売上高を基に納付する消費税額を計算する」ので、今まで通りインボイスの保存は仕入税額控除の要件ではありません。よって現行から変更はありません。
まとめ
インボイス記載事項について、買手側の仕入税額控除の要件等について紹介しました。
次はいよいよラストです。第8回では、インボイス制度の経過措置・公表情報について解説します。
▼あわせて読みたい
>インボイス制度による影響を考える~課税事業者からの視点で解説~
>適格請求書等保存方式(インボイス)導入後は消費税の端数処理にも注意!
▼前回のブログ
>第1回 インボイス制度概要① 消費税の仕組み
>第2回 インボイス制度概要② インボイス(適格請求書)発行事業者の登録
>第3回 インボイス記載事項① インボイス・簡易インボイス・電子インボイスの概要
>第4回 インボイス記載事項② 消費税額の端数処理と仕入明細書・複数書類での対応
>第5回 インボイス売手の留意事項① インボイス発行事業者の義務等・交付方法の特例
>第6回 インボイス 売手の留意事項② インボイスの誤りがあったら、値引きや返品があったら
▼今回のブログのつづき
>第8回 インボイス買手の留意事項② 経過措置・公表情報
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