第4回 インボイス記載事項② 消費税額の端数処理と仕入明細書・複数書類での対応
本ブログは、2023年10月スタートのインボイス制度(適格請求書等保存方式)への企業の対応について、図解を交えわかりやすく解説するシリーズ第4回目です。前回のブログではインボイス記載事項についてでしたが、今回はさらに消費税の端数処理などの詳細について紹介します。
制度概要から対応ポイントなどをイラストで理解したい方や、財務会計・販売管理ソフトを既にお使いの方などへ、お役立ていただけるのではないかと思います。
国税庁のインボイス制度特設サイトの内容をベースに、8回にわたりみなさんに共有します。最後までお付き合いいただけると幸いです!
【インボイス対応迫る!】シリーズ一覧(予定)
インボイス制度 実務対策ガイドブック
目次[非表示]
- 1.前回の復習
- 2.消費税額の端数処理
- 3.仕入明細書による対応
- 4.仕入明細書等の記載事項
- 5.複数の書類やデータによる対応
- 6.まとめ
前回の復習
現行の請求書とインボイスの違い(追加項目3点)と、簡易インボイスについてご紹介しました。
第4回ではさらに詳細な変更点を解説していきます。
消費税額の端数処理
インボイスでは新たに「消費税等」の記載が必要となりました。このため【1円未満の端数処理にルールが発生】します。下図イメージの⑤ですね。
(前回インボイスのイメージ例より)
つまり、【1円未満の端数処理にルールが発生】=「一つのインボイスにつき税率ごとにそれぞれ1回行う」ということになります。
では実際に数値例をみてみましょう。
(消費税からみる、インボイス数値例)
インボイスでは、税率ごとに合計した対価の額に税率を乗じる等して計算します。つまり、品名ごとの端数処理NG!となります。
なお、端数処理の方法は切り上げ・切り捨て・四捨五入どの方法で計算しても大丈夫です。
(「適格請求書(インボイス)消費税端数処理って何?」という方は以下の記事をご参照ください)。
仕入明細書による対応
インボイスは「売手」が「買手」に交付するものですが、「買手」が作成する仕入明細書での対応も可能になります。
・「売手」が「買手」に交付
・「買手」が作成する仕入明細書での対応はこちら
①買手が仕入明細書作成
②売手が内容を確認
③保存
買手が仕入税額控除の適用を受けるにあたり、売手が交付するインボイスではなく、買手が作成する書類を保存することになるので、その客観性を担保するため売手の確認を受ける必要があります。「売手」に確認を受け保存しておくことで仕入税額控除の適用が受けられます!
では具体例はどのようなイメージでしょうか。解説していきます。
仕入明細書等の記載事項
仕入明細書は一定事項(下記①~⑥)を満たしたものに限ります。
相手方(売手方)への確認方法ですが、例えば仕入明細書に「送付後2週間以内に連絡がない場合確認済と致する」といった記載をして相手方の了承を得る、ということでも大丈夫です。
(仕入明細書等イメージ)
複数の書類やデータによる対応
インボイスは記載事項を満たすものであれば必ずしも一つの書類やデータである必要はありません。例えば、取引内容は「納品書」にそれ以外の記載事項は「請求書」に記載し、さらに納品書番号を用いるなどして関連を明らかにしていれば、これらをあわせてインボイスの記載事項を満たすことになります。
イメージ例)「納品書」と月まとめの「請求書」で運用するとき。
①取引内容は「納品書」にそれ以外の記載事項は「請求書」に記載。
②納品書番号を用いる等して関連を明らかにし、これらあわせてインボイス記載事項を満たす。
▼納品書の保存で確認しておきたいことをさらに知りたい方へこちら。
>適格請求書等保存方式導入後は納品書の保管にも注意!
まとめ
インボイス記載事項について、「消費税額の端数処理」や「複数書類での対応」について紹介しました。第5回では、インボイス制度の売手の留意事項について解説します。
▼あわせて読みたい
>インボイス制度による影響を考える~課税事業者からの視点で解説~
▼前回のブログ
>第1回 インボイス制度概要① 消費税の仕組み
>第2回 インボイス制度概要② インボイス(適格請求書)発行事業者の登録
>第3回 インボイス記載事項① インボイス・簡易インボイス・電子インボイスの概要
▼今回のブログのつづき
>第5回 インボイス売手の留意事項① インボイス発行事業者の義務等・交付方法の特例
>第6回 インボイス 売手の留意事項② インボイスの誤りがあったら、値引きや返品があったら>第7回 インボイス買手の留意事項① 仕入税額控除の要件等(帳簿のみの保存や少額取引など)
>第8回 インボイス買手の留意事項② 経過措置・公表情報
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